Laylaa 胸苦しさに、アスランは目を覚ました。上体を起こし、膝を抱えるようにしてうずくまる。肩に竜でも降り立ったかのような重苦しい痛み――思わず呼吸が止まりそうになるのを堪えて、ゆっくりと細く息を吐く。
「――アスラン様」
侍従が声を掛けて近付いてくるが、アスランは軽く手を振って制止する。声は出ない。出せない。
固く目を瞑って耐えていると、やがて痛みが波のように引いていった。どっと冷や汗が噴き出し、肩の重みが鈍い痺れに変わる。
大きく息を吸って、吐いて。そうすると、急に心臓が脈打って、かあっと身体が熱くなる。しかし指先は冷たい。
鼓動が落ち着くのを待って、アスランは寝台から降りた。バルコニーに出て長椅子に腰かけると、夜の砂漠の向こうから、冷たい風が吹きつけてくる。
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