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    suika_disuki

    @suika_disuki

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    suika_disuki

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    合コン行ったらカレシが出来た話「タケミチ合コン来ないか?」
    「えっ!行っていいの?!」
    大学の友達が誘ってくれた。
    親友ではないがそれなりに喋るやつだ。
    「合コンって言っても、地元の先輩と久しぶりに飲もうってなって、人数バカ多くてさ。でも急に何人が抜けて、女の子が余るんだよ。同じ人数にしたくて声掛けてんだ。どうかな?」
    「行くいく!」
    この時、安易に返事をしなければ良かった事を知る。
    待ち合わせ場所に行くと友達が手を振り、中に入った瞬間『あ、俺、これ終わったわ』と悟る。
    確かに、彼は時折ヤンキー自慢をしていた。していたが…。集まった男メンバーがやばすぎた。
    えっえっえっ?そんな皆体に落書きしてるものなの?頭とか、首とか。髪の毛もとてもカラフルで……。そして何より皆顔がいい!!正直言って、迫力ありすぎて怖いんですが。
    「皆さんお疲れ様です!!」
    「おー、ソイツも?」
    「はい!大学のダチです!」
    「ふーん」
    一斉に目がこっちに向き、そして興味を失った。
    何人か穴埋めで連れてきた知り合いは一様に顔が暗い。
    自己紹介から始まり龍宮寺さん、三ツ谷さん、羽宮さん、場地さん、松野さんがどうやら東京卍會とかなり有名な半グレスレスレのメンバーだった。
    東卍とは聞いたことがあるが、実在メンバーを見た事がなかったのでちょっと感動だ。
    「マイキーがドタキャンしやがったからなぁ」
    「あいつそういうところあるよな」
    龍宮寺さんと三ツ谷さんが明らかに自分もドタキャンすれば良かったという顔をしている。
    「私マイキーくんに会って見たかったなぁ!喧嘩で100対1で勝ったって本当なの?盛ってるでしょ」
    「ドラケンくんって普段何してるの?」
    「三ツ谷くんってオシャレだよね、今度買い物行こうよ」
    「私東卍のファンなんだ!」
    女子たちは既にこちらを見てない。そうだよね、仕方ないよね。男達だって東京卍會とお近付きになりたいから必死に話しかけている有様。
    「ここペヤングねぇのかよ……」
    「千冬ペヤング買ってこいよ」
    「バジさんのためなら俺買ってきまますよ!」
    なんだか羽宮さんと場地さんと松野さんは自分たちの世界作っちゃってるし……。しかし、このまま合コンなのに1人飲むのはかなしい!松野さんは歳が近そうだし、ここに絡むしかない……!!
    「あの、流石にペヤングはないと思うし……持ち込みは迷惑だよ」
    「なんだよ、お前……?」
    「は……?お前だれ……?」
    羽宮さんと松野さんのメンチヤバすぎる。美形の睨み怖い。バチボコやられるやつか?!
    「花垣武道です……。えっとですね!その、焼きそばあるしわ頼みませんか?!俺も焼きそば食べたくって……」
    「なんでお前の食べたい物をバジさんが食べなきゃ行けねーんだよ!」
    確かにそうですよね?!すみませんすみません!もう二度と話しませんので許して……!
    「じゃー食うか。あとチャーハン、唐揚げとー」
    やばい量を追加注文し、このテーブルだけ凄まじい。
    「こんなに食べれます?!」
    唐揚げ、チャーハン、焼きそば、フライドポテト、焼き鳥盛り合わせ、ポテトサラダなどなど。
    「バジさん……。今日は控えめですね……。体調悪いんですか?」
    「どうしたんだよバジ?腹でも痛むのか?」
    「えっこれで控えめ?!」
    溝中のメンバーで飲む時より少し少ないな、くらいの量が?
    「合コンだしな!」
    「確かに……」
    「流石バジさん!」
    もう羽宮さん場地さん松野さんは女性陣からは三角関係のBとLの世界だと思われ、ターゲットから外れてますよ……。なんで、女の子と一切話してないのに、まだ希望があると思ってるのか不思議だ。
    最初こそ3人怖ぇ!特に羽宮さん目がなんか病んでるし、虎のタトゥー怖!と気持ちが負けてたが、話すと松野さんは同い年で意外と話しが合う。
    「将来ペケJランド作りてぇ」
    「ペケジェーランド?」
    「ペットショップだ」
    「動物好きなんですか?あ、バジさんもちょっと猫っぽいですよね」
    「お前は犬っぽい」
    両手で頬を挟まれヨーシヨシヨシ!とモミモミされる。
    「やめっ、ひゃめてくらひゃい~!」
    「バシさん俺にも……!俺にもさせてください!」
    2人にモミモミされた。
    バジさんなちょっとズレてるというか、天然というか、おバカさんというか……。いい人だった。
    「3人ともちょっと猫っぽいですよね。ずっと友達なんですか?」
    「俺は大溝中学で、こっちら2人が同じ中学」
    「え!俺も溝中です!」
    「マジで?運命感じたわ……」
    リンっとピアスの鈴がなる。羽宮さんは同じ中学だった共通点に話な進む。話すとやっぱメンヘラというかヤンデレ気質がちょいちょい顔を出していたし、年少入っていたなんて冗談か本当か分からない発言に「す、すごい経験だね!!」しか返せなかった。
    困っていると松野さんが猫の写真を見せてくれた。ない猫らしい。
    「松野さんのペケJ可愛いなぁー!」
    「今度触りに来いよ……あと、オナイなんだしタメでいいし、千冬って呼べよ」
    「うん!やった!千冬の猫触りてぇ~。1回猫カフェ行ってみたいけど、男だけだとなかなか入りにくくてさー」
    羽宮さんがなんてこと無さそうに言うを
    「俺ら3人で行ったけど、普通だったからタケミチも行けるって」
    それは嘘だ。顔面偏差値が違うから。
    「3人はイケメンだから何処でも入れるよ!!」
    イケメンはどこにだって入れる!フツメン、いや、モブ顔には女子が好んで入る場所はハードルが高すぎるって知ってますか?知りませんよね?!
    「タケミチも大丈夫だろ?ね、バジさん」
    「可愛い顔してるし、いけるだろ?そんな不安なら今度俺らと行ってみるか?」
    「それいいな。タケミチ連絡交換しよう」
    人生で初めて可愛い顔と評価された。突っ込めばいいのか、喜べばいいのか……。ヤンキー的鉄板ネタならどう返していいか分からない。
    「童顔とは言われますが、かわ?かわいい……?あ、はい」
    もたもたしながらどうやって友だち追加するのか悩んでると松野さんがスマホを取り、追加してくれた。
    「あの!私たちとも交換しようよ……!あ。ハナガキくんも」
    ちゃっかりした女の子達も慌ててスマホを出し、イケメン3人とおまけ的形ではあるが、女の子の連絡先もGETできた。
    大分とお酒も進みトイレに立つ。
    女子は全然話せなかったなぁ。ぼんやりそんな事を考えていたら羽宮さんがトイレにやってきた。
    「あ、タケミチ。ここにいたんだ」
    「羽宮さん、え!?もしかして会計ですか?今行きます……!」
    「違うよ、タケミチがいないからどこ行ったのかなぁって。あとさ、同中じゃん。一虎って呼んでよ。今度どっか遊び行こうよ」
    「そうっすね!休みが重なったらどっか行きましょう!」
    「約束だから……タケミチ……」
    ゾワッとした気がするが気のせいだろう。
    一足先に席に戻ろうとしたら全く知らない女の子が酔っ払いのグループに絡まれていた。
    その泣きそうな顔が見えて、気付けば割って入っていた。
    「嫌がってますよ!」
    「あぁー?お前彼氏かなんか?1晩彼女かしてくれよォ?」
    「あはは!いいな!彼氏の前でヤッちゃおー」
    かなり酔ってる。全員体も鍛えてるのもあるけど、体格がかなりいい。
    赤い顔とだらし無く酒に酔った目でギッと睨んでくる。
    「違います!!でも嫌がってるでしょう?人に迷惑かける飲み方は良くないですよ!女の子、怖がってます!!」
    「うっせぇ!先に声掛けたのは俺だ……!シャシャんな!ぶん殴られたくなかったら消えろ!」
    リーダー格の男か、喧嘩っ早い男かは分からないが胸ぐらを掴まれる。
    「消えません!」
    「うっせぇ!」
    殴られる!と身を固くするが、予想していた衝撃は来なかった。
    薄めを開けると、ヒーローみたいに龍宮寺さんがその、酔った男の腕を掴んでいる。
    「お兄さん俺のツレになんか用か?話なら俺も聞いてやるよ」
    「離せクソ野郎!!」
    「暴れんなって?迷惑だろ?」
    腕を振り払おうとするのに、なにをどうやってそうなるのか、龍宮寺さんは酔った男の腕をいつのかにかねじり上げていた。
    そのおかげで掴まれていた腕は離れ、腰が抜けていたのか踏ん張れず尻もちをつく。
    「いでっ!腕!イデデデ!!!!くぁwせdrftgyふじこlp!!!!!!」
    既に酔っ払いは何を喚いているかも分からない興奮状態。
    「やるなら表出ろ」
    酔っ払ったグループの男は三ツ谷さんやバジさん達のなんとも言えないオーラに酔いも覚めたらしい。
    「す、すんません!こいつ酔うとこうなるんで……!すんません……!!」
    「ほんとすみません……!!!!!馬鹿!もう行くぞ……!!」
    多めのお金を置いて彼らは行ってしまった。
    「あ、あの……、ありがとうございます……!!」
    涙声が後ろから聞こえ振り向くと絡まれていた女の子が龍宮寺さんにぽやぁっとしている。うん、わかる。龍宮寺さんすごくカッコイイ……!!
    尻もちをついたままの俺に向かい手を差し伸べてくれる。その手を掴んで引き起こしてもらった。
    自分の手とは明らかに違う厚い皮膚の感触。
    「大丈夫だったか?」
    「あ、ありがとうございます!俺もう殴られると思ったから……」
    「弱いのに行くからだろ」
    「……す、すみません……。昔から、ああいうの見過ごせなくて……」
    「えーと、確か花垣?だっけ?怪我とかなかった?」
    三ツ谷さんも心配してくれて、弱いのに飛び出して結局助けられるなんて、なんだか恥ずかしい状況だ。
    「だ、大丈夫です。皆さんすみません……」
    背後から女の子がおずおずと話かけてくる。
    「あの、その……さっきのお礼を……」
    本当のお礼したさと、龍宮寺さんと三ツ谷さんとお近付きになりたさが少し混じった雰囲気だ。
    「ツレ助けただけだから。バジ、一虎もう行くか。騒がせちまったし」
    「おー、もう食ったし帰ろーぜ。眠ぃ」
    気付いたらいつの間にか千冬が会計を済ませていた。
    2軒目に行きたがる女の子達とは裏腹に龍宮寺さん、三ツ谷さん、バジさん、一虎さん、千冬は全員「行かねぇ」だった。
    さっきのせいでなんだか恥ずかしく自分も不参加。その場で解散となる。
    「あ!千冬、さっきのお金いくらだった?」
    財布を出そうとするがその手は千冬に素早く掴まれ阻止される。
    「いらねー。俺らが出したから。東卍の顔立てろって」
    「いや……でも……」
    正直お金が浮くのは嬉しい。しかし、流石に図々しい気がする。
    「ならさ、2軒目どっか行こう?そこで払えばいいだろ?」
    「なら、カラオケ行かねぇ?」
    一虎さんの提案に龍宮寺さんがすかさずカラオケを指定。
    「いいな」
    眠たがっていたバジさんまで賛成してきた。
    「花垣は時間大丈夫?」
    三ツ谷さんは、気遣ってくれてるが、なんだか否の答えを言わせない雰囲気がある。
    「……カラオケ、好きっす」
    「じゃー決ま り」
    優しいタレ目の三ツ谷さんはニッコリ笑った。
    いつも行くとここっちだから、そう言われ歩き出す。
    龍宮寺さんに肩に手を回されて逃げられない。いや、逃げるつもりは無いが左右を固められてなんだかやばい事に巻き込まれた気がする。
    身長の高い龍宮寺さんを見上げながら聞いてみる。
    「でも……、他のみんなは良かったんですか……?」
    「あー、いつものことだから。ああいうの苦手なんだよ」
    本当にうんざりした様子だ。
    「ただの飲み会って聞いて来たら合コン……。めんどくせぇけど、今日は参加して良かったかもな……?」
    「は……はぁ?楽しかったなら、よかったっす……」
    「ずりーぞドラケン。俺らが先に仲良くなったんだからな」
    「うるせーバジ。そんなの知るか」
    かなり有名なカラオケ店。そこを顔パスで入れるのは流石東卍という所か。
    自慢ではないが、顔と運動神経が良ければアイドルになれたと友達からお墨付きの歌声を披露すると皆一様に簡単の声。
    イケメンに褒められるなんて……気持ちがいい!!
    「お前いつもああいうことしてるのか?」
    「あー……。子供の頃からヒーローになりたくって……。弱いのにいじめらてる人とか見たら間に入ってヒーローごっこしてたんです。今もたまにあんなことして、子供の時から喧嘩強くなってないのに。龍宮寺さんみたいに強かったら様になるのに……ホント恥ずかしい……!龍宮寺さん俺の思ってるヒーローみたいですげぇかっこよかった……!」
    切れ長の目がスっと細められて、いやーほんとイケメンだと感心する。
    「ドラケン。タケミチ俺の事ドラケンって呼べよ」
    「え?どらけん……さん?」
    「タケミチはかっこよかった。昔は俺らも女に手を出す奴らは許せなかったなぁ……。でも変わっちまうんだ。お前は俺らの無くしたもんを持ってる……」
    「あはは……、なんか……照れます!」
    運ばれたカルピスサワーを飲んで照れ隠しをする。
    「今日はいっぱい遊ぼうな?」
    そこからの記憶は曖昧になってくる。沢山歌って、沢山飲んで、なんだか段々ふわふわしてくる。
    「おーい、タケミチ大丈夫?」
    「まわったんじゃねー?」
    「らいじょうぶれふっ」
    「大丈夫じゃねーじゃん」
    「ちょっと休憩しねー?」
    誰が話しているのかよく分からない。
    「きゅーけー……?おりぇ、よっちゃったみたいにゃんで……きゅーけーひましゅ」
    「そうしよう。おい、部屋連れてくぞ」


    はっ!と目が覚めた。頭が酷く重い。二日酔いと違う重さだ、どうしたんだろう。
    「ううう……」
    全身も痛い。痛い身体を動かすと暖かい物に挟まれている事に気付いた。
    重い瞼を開けるとドラケンさんが。
    「えっ……」
    体を起こそうとするが腕が乗っているので下手に動けない。
    「んんー……」
    後ろから声がして、嫌な汗を流し首を限界までねじると三ツ谷さん……。なんで二人共上の服着てないんですか……?というか、俺の服は……?全裸じゃないよね?神様……!!!
    「……っ、に、げないと……」
    そっと体をゆっくりゆっくり動かす。
    何とか抜け出し息を殺してベッドから抜け出す。
    あぁーやっぱり裸!しかも足に見た事ない鬱血となんか歯型みたいになのが……!!!
    早く、早く出よう!!立とうとした瞬間へたり込む。
    シリが、シリが痛すぎる……!!しかも足腰が産まれたての小鹿並に言うことを聞いてない。
    「んー……。タケミチ……起きた?体大丈夫かよ?」
    誰かと思って見るとソファに眠っていたバジさんが目を擦り起きてきた。
    「あのっ、あのっここここ、これって……あの……!!」
    「あー?風呂入るかぁ」
    話しが通じない!
    簡単に姫抱きして風呂場に連れていかれる。
    どこか分からない部屋の風呂はめちゃくちゃデカい。多分ラブホとかにある丸くてジャクジーのやつだ。
    鏡もなんで全面に貼ってるのか。そこに映る姿に引いた。想像以上にやばい。鬱血痕と歯型が無い場所が無い。
    ずっと稼働していたジャクジーに入るとブルっと体が震えた。満身創痍の体には沁みる。
    「頭洗ってやるよ」
    「い、いいっす!!」
    「俺上手いから」
    勝手に頭にシャンプーをつけられゴシゴシされる。めちゃくちゃいい匂いのシャンプーだ……。
    本当に上手に頭皮マッサージしてくれてトロンとしてしまう。
    そんな風にウトウトしているとドアが開く音がして、みるとドラケンさんが入ってきた。
    「タケミチいねーと思ったら、お前らイチャイチャしてんじゃねぇ」
    なんの躊躇もなくジャクジーに入ってくる。男3人が入っても余裕なんてすごい。
    「……ど、ドラケンさん……お、はようござい、ます」
    「はよー。逃げたかと思った」
    チュッと当然のようにキスをしてきたので驚き固まる。
    「まぁ、逃げてもすぐ見つけるけどな?」
    持ってきたスマホの画面を見せてくる。免許証、保険証、クレジットカードの画像だ。
    「ソンナコト、シマセンヨ……」
    「だよな?俺らと付き合ったんだから。逃げるなんてねぇよなぁ?」
    昨日の夜の事がぼんやり思い出される。なんだか、わけがわかん無くなり気持ちよくなって、誰か選べないと泣いて、全員と付き合うと約束した気がする……。
    「は……ははは……。……あの……こ、こんな何股もする奴なんて……最低だから……わかれたほうが……うぐっ!!」
    髪を優しく洗っていたバジさんが乱暴にその髪を握り強引に後頭部を下に引いて顔を上向かせる。
    「なんつった?聞こえねー」
    「痛いっ……イタイっ……!!!バジさん……何も……、言ってないです……!!」
    パッと手を離され、また優しく髪を洗いだす。
    「変なこと言うなよタケミチ?俺ら悲しいだろ?」
    「ご、ごめんなさい……」
    完全に萎縮してしまったのを見かねたのか、面白がってかドラケンさんが手を伸ばし、両脇に手を入れバジさんの膝からドラケンさんの膝へ移動させらる。
    「バジ、タケミチビビらせんな。可哀想だろ?ほら、こっちこい」
    「……ふん、ドラケンだってそんな事言われちゃもっと酷いことしてんだろ?俺はまだ優しい方だ」
    「そんなことねぇよ。俺は”恋人には”優しい」
    泡立つ髪に何度もお湯をかけられていく。
    泡が無くなる頃には大きな手は怪しく背や足の間を触るので緊張する。
    「タケミチ昨日は疲れたろ?千冬に家まで送らせる」
    「んっ……、は、はい……ありがとうございます……」
    頬から首にチュッ、チュッと唇が順に這わされ。
    ゾワッとする感覚は昨日確かに感じたものと同じだった。
    逆上せるとダメだと軽くトリートメントとか言うやつも付けられ風呂場から上がると三ツ谷さんも千冬も起きている。一虎さんはまだ夢の中だ。
    「乾かしてやるからこっちこい」
    三ツ谷さんがなれた手つきで髪を乾かしてくれ、軽食を作ってくれたの食べ、千冬のバイクに乗せてもらった。
    「歩けるか?確かあの部屋だよな?カギ何処だよ」
    「あ、今出すから」
    足腰が上手く立たないので、肩を借りて階段を上る。なんで正確な部屋番号を知っているのか。昨日口走ったのか……それとも……。
    「ち、ちふゆ……送ってくれてありがとう……」
    「……タケミチ、家に入れてくんねーの?」
    「えっ?!……いや、汚いし……マジで……。ゴミとか散乱してるから……」
    「……」
    無言の圧とはこれだろう。
    「あー、ま、また今度、な!」
    ドアを開け、素早く滑り込ませたつもりが、千冬もすんなり入ってしまう。
    「入れてくれてありがとな、タケミチ!」
    「いや……その……、はやく……帰った方が……」
    「タケミチ……、昨日晩はあんまゆっくり2人で出来なかったもんな……?」
    「……も、もう……俺……、体が……」
    「辛い……?大丈夫かよ……。怪我してねぇか見てやるから」
    そのまま短い廊下を引きずられ、敷かれっぱなしの煎餅布団に転がされた。怪我が無いかの確認はとても入念で、執拗だった。

    「はぁー、タケミチどうだった……?」
    「うっ……うぅぅぅ……」
    「そうだよな、良かったよな。俺もすごく良かった。タケミチと付き合えて嬉しいよ。ドラケンくんとかは怖ぇから断んなくて正解だ。でも、俺らはちゃんと恋愛しような?」
    こいつら全員アタマがイカれていると気付くには少し遅すぎた。
    また連絡すると体の処理と部屋のゴミを軽く片付けて千冬は帰って行った。
    これからどうなるのか……。なんでこんな事に……。そんな考えがぐるぐる回る。
    画面が点灯したスマホを見ると一虎さんからいつ会えるのか、なんで無視するのか、黙って帰るとは酷い、嫌い、嘘、無視すんな、なんで連絡返してくれないの、殺す、殺す、殺す……がずっと入ってくる。
    『返せなくてごめんなさい。体辛くて。また連絡します』
    それだけを入れておく。
    また、大丈夫?、昨日はごめん、嫌いなんて嘘、お見舞い行く、何が好き?、仕事が終わったら必ず行くから、あいつら乱暴だろ?、俺は違うよ……なんてのがずっとくる。
    そのままボーッと画面を見ているとドラケンさんからポンと何かが送られる。
    それを開いて、ただ泣くしかない。
    もう退路は絶たれた。
    彼らが早く飽きてくれる事を神に祈る。


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