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    haiiro1714

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    haiiro1714

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    いつぞやの雪の日にぱたぱたしあいっこするヌヴィフリの小説。
    衝動書きなので不備があったらごめんなさい。

    ##ヌヴィフリ

    ヌヴィレットは雪の降る街を歩きながら昔の事を思い出していた。
    その年は、雪の降らないフォンテーヌでは珍しくまとまった量が降った年だった。
    理由はすっかり忘れてしまったが、自分とフリーナとセドナの3人で少しカフェで休憩しようという話になった。
    その頃はまだ人間社会に馴染めていなかった為、日常的な所作はフリーナを主とした周囲の人間から学んでいた最中だった。
    「君は店内を水浸しにする気かい?」
    店に入ろうとするヌヴィレットを呆れたようにフリーナが引き止めた。
    「セドナ、君もだよ。」
    フリーナはヌヴィレットの横にいたセドナに積もっていた雪を払い落とした。
    「はい、これでよし。」
    「ありがとうございます。フリーナ様。」
    確かに雪が付いたままでは店内を濡らしてしまう、と思い直したヌヴィレットは見様見真似でフリーナがセドナにした様に自分に付いた雪を払い落とした。
    「どうしたんだい?」
    セドナの雪を払い終わったフリーナが顔を上げれば、肩に手を添えた状態で不自然に停止しているヌヴィレットと目があった。
    「…すまない、フリーナ殿。髪飾りに袖口の装飾が引っ掛かってしまった。取っては貰えないだろうか?」
    見えない位置故か、上手く取れないらしい。
    「ふふ。君ってば案外不器用なところがあるよね。」
    少し屈んでくれるかい?と言ったフリーナに素直に従った。
    少しして、腕が自由になる。
    「装飾品に引っかかる最高審判官様の記事が出回っても困るから、この僕が手ずから君の雪を払ってあげよう!」
    そう言うとヌヴィレットの後ろに回り込む。
    肩や首元、飾りと徐々に下へとフリーナの手が移動する。
    パタパタ パタパタ とフリーナが雪を払う音だけが無音の街に響く。
    「はい、終わり。…僕が言うのもなんだけど、君の服の装飾品は尖っていて払うのが大変だったよ。」
    手袋に着いた雪を払いながらフリーナが離れていく音を聞いていた。
    「フリーナ様、お手伝いさせてください。」
    自分の雪を払っていたフリーナにセドナが慌てて駆け寄る。
    「じゃあ、お願いするよ。」
    フリーナが屈んでセドナに雪を払ってもらう。
    常に気を張り詰めた様な彼女より幾分穏やかな表情のフリーナと楽しそうに笑うセドナ。
    そんな光景にヌヴィレットは暫し目を奪われていた。


    「おーい、ヌヴィレット。一体、どうしたんだい?」
    もしもーしとヌヴィレットの目の前で手を振るフリーナ。
    どうやら深く記憶に沈んでいたらしい。
    目の前の彼女の髪は記憶の彼女と違い、肩口まで切りそろえられていた。
    「ほら、雪を払うから屈んでくれよ。」
    そう言われて小さく屈む。
    「相変わらず、君の服は装飾が多くて不便だね。」
    パタパタ パタパタと慣れた手つきでフリーナは雪を払っていく。
    「それは私もよく思っている。…だが、これが私の立場にあった服装であるのだから多少不便でも受け入れている。人間とはそういう者だと教えてくれたのは君だろう。」
    「ああ、そうだよ。…でも面倒くさいんだよ!細かい装飾の雪を払おうとすると僕の袖が引っかかるんだから!」
    はい、終わったよ!と少し怒り気味にフリーナは言った。
    「では、次は君の番だな。」
    ヌヴィレットがフリーナの雪を払う。
    今日の彼女はいつもの服装の上にふわふわのファーで縁取られたケープを羽織っている。
    ヌヴィレットはケープのフードの雪を慎重に落とした。
    「終わった。」
    「ありがとう。」
    ああ、そういえば、雪を払えば手袋は濡れて冷たくなる。
    思わずフリーナの手を掴んだ。
    「うわ!?君、どうしたんだい?それとも怒ったのかい!?何に!?」
    驚いて手を離そうとフリーナはぶんぶんと手を振リ回す。
    「…手が冷たくなっている。」
    ヌヴィレットは自身の眉間に皺が寄るのを感じた。
    「それはそうだろう?」
    それは過去のあの時もそうだった筈で。
    「君、本当に何がしたいんだい?」
    フリーナの了承も得ずに手袋を外せば、細い指先は赤く染まっていて如何にも寒そうだ。
    その手を己の手で包み込む。
    「!…ちょっと、ヌヴィレット!離してよ!」
    「………。」
    どれくらいそうしていたか、指先は僅かに本来の色を取り戻していた。
    「いやなに、あの頃の私は何も理解できていなかったのだな、と。」
    2人分の雪を落とした彼女の指先は今日の比ではなく赤く、霜焼けすら起こしていたのではないか、と今更ながらに思った。
    そう考えれば、何故だかとても彼女が愛しく思えてしまって気が付けば手の甲へキスを落としていた。
    「〜〜〜っ!ヌヴィレット!」
    指先にも負けないほど、頬を染めたフリーナと目が合った。
    ヌヴィレットから手を取り返し、手袋をひったくって再び嵌める。
    「もう!僕は先に行くからね!!」
    頬を赤く染めたまま白い息を吐き出してフリーナはずんずんと歩き出す。
    その後をヌヴィレットがゆったりした足取りで追いかける。

    静かな街に二人分の新雪を踏みしめる音だけが聞こえていた。











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