うちの奥さんが世界で一番可愛い! ヌヴィレットは日々の業務を終えて、席から立ち上がる。エントランスを抜けて外に出れば、夜間警備員達が彼に敬礼をする。
「お疲れ様です!最高審判官殿!」
「ああ、今晩は君達か。留守を頼む」
「お任せ下さい!良い夜を!」
「ああ、君達も」
短い挨拶を済ませ、ヌヴィレットは歩き出す。巡水船乗り場に着いてから今日の運行が終わっている事に気付いて僅かに表情を曇らせる。さて、どうやって帰ったものか……。暫し考え込んだ後、ヌヴィレットはその場を離れる。人気のない場所まで行くと彼はゆっくりと浮き上がる。人の目には見えない高さまで来た所でスピードを速めれば、眼下に見えていたフォンテーヌ廷がぐんぐんと遠ざかる。彼はエリニュス山林地区に建つ一軒家に降り立つと懐から鍵を取り出し、鍵穴に差し込んだ。ドアノブに手を掛けて回して中へと入る。
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