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    秋月蓮華

    @akirenge

    物書きの何かを置きたいなと想う

    当初はR-18の練習を置いてくつもりだったが
    置いていたこともあるが今はログ置き場である
    置いてない奴があったら単に忘れているだけ

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    秋月蓮華

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    二日ずつアップ出来たらしていこうかなとはおもいます。
    みっかめ
    びみょ、しめ、かずくんがいる

    よっかめ
    にゃおき、くめめ、あくたがわがいる

    はわーどのなつやすみ 三日目と四日目「おや。ラヴクラフトさんじゃないですかぁ。また迷ったんですか?」
    ラヴクラフトは何故だか道に迷いやすいのです。迷って迷い続けたら、誰かが助けたりしてくれますが、
    今日も散歩をしていたら迷ってしまいました。歩いていて、辿り着いたのは薄暗い部屋でした。そこで書き物をしているのは山田美妙、
    文豪たちは全員で八十三人、人数が増えるに増えたため、誰だっけ……? となることがかなりあります。
    だからそういう時は名乗ったり、人数多いから覚えられないんだよ無理が通るよと文豪たちを転生させた特務司書の少女は言いました。
    「はい。迷う。迷い、ました。時間。午後。当番、潜書」
    「まだ午前中ですって。そろそろお昼ですけどね。僕も何か食べないと」
    「書く。書きますか。小説」
    「ええ。書いてますよぉ。小説。この作業部屋で」
    作業部屋、と呼ばれてラヴクラフトは何処にいるのかを理解しました。作業部屋、帝国図書館本館にある部屋です。
    帝国図書館分館の管理者の一人である黒い方が使っている部屋で、小さな部屋の四方が本棚で囲まれています。書き物机がありました。
    美妙はそこで小説を書いているようです。この部屋に来ると高確率で美妙がいて小説を書いています。
    「涼しい」
    「気温を一定にしていると。とはいえ今日はまだ涼しいですよ。午後からは雨のようで」
    「雨。『ウルタール』休み」
    『ウルタール』は直木三十五が始めた屋台カフェであり、晴れた日の夕方から始めているものです。雨が降ったら休みになります。
    「休めるときには休んで。直木さんもあなたも夏には弱い。僕も気を付けていますけど」
    美妙は水差しからガラスのコップに水を注いで飲みました。飲みますか? と問われたのでラヴクラフトは頷きます。
    水分と塩分の補給はしっかりとしておけとは何度も何度も言われていました。美妙はラヴクラフトの前に小皿にのせた塩クッキーを何枚も置いてから、
    自分は白くて丸いお菓子のようなものをいくつも出して食べていました。
    「菓子」
    「塩タブレットっていう。今は最終の仕上げ中なのでこのまま突っ走ります」
    「小説。本。文学」
    この作業部屋は苦手な者は近寄ることすらできません。ここはマイナーな文豪の本が集められていると言いますが管理者の研究内容で
    中身が変わります。名が残らない物書き、置いてあった文庫本を眺めれば『藤澤清造』とあります。
    ラヴクラフトの主のポーだって小説を書いています。
    「どうしても書いてしまいますからね」
    グラスの水をさらに美妙は飲んでいます。ラヴクラフトもクッキーを食べました。壺もクッキーを食べました。四角くて薄っぺらいクッキーは
    塩がきいていて美味しいです。バリバリしていると部屋のドアがあきました。
    「美妙さん。ここに。ラヴクラフトさんも」
    「ここにいると想っていたが、美妙。――ラヴクラフト。ポーが探していたぞ」
    「食堂に行こう。昼食の時間だ」
    部屋に来たのは広津和郎と二葉亭四迷。お昼ご飯の時間になっていました。食堂に誘われたので行くことにします。
    あそこに行けば高確率でポーに会えるのです。
    「ごはん。いきます。塩クッキー。食べました。美味しい」
    「……お前は栄養補給がかなり適当になっているな。美味しいものはどうした」
    「気分転換なしで走るつもりでしたので」
    「食え」
    二葉亭が美妙を引っ張り出します。ラヴクラフトからすれば見慣れた光景でした。二人を見送るラヴクラフトに広津が手を差し出します。
    「自分たちも行こう。迷わないように手を引くから」
    ラヴクラフトは最後の塩クッキーを食べて、飲みこみながら手を掴みました。
    「はい。行きます」



    窓の外の雨をラヴクラフトは見つめます。
    叩きつけるような雨であり、災害級というわけではありませんが、かなり降っていました。空は灰色だし、気温はまだ涼しい方ですが、
    「涼しい……? 低い。涼しい」
    余りにも連日が暑いので、涼しいの基準が緩くなっているのではないかとラヴクラフトは考え込みます。
    「ハワード。雨をみてんのか?」
    考え込んでいると背後から気さくな声が聞こえました。窓ガラスには茶色い頭が写っています。
    「見てます。雨。ナオキ、降ります。雨」
    「何日かは続くから『ウルタール』は休みだな。暑くても来てくれるお客さんには悪いけどよ」
    直木三十五。
    ラヴクラフトが慕う文豪です。直木は気さくであり、ラヴクラフトにいろんなことを教えてくれました。面倒見もいいのです。
    『ウルタール』は直木が晴れた夜にやっている屋台カフェあり、ラヴクラフトも手伝っていました。夕方も昼間よりはまだ軽くなってきたとはいえ、
    暑いのですが、お客さんが来てくれます。
    「淹れますか。コーヒー」
    「そうだな。俺の分とお前の分と久米が執筆してるしアイツにも持って行ってやるか」
    雨の日には一つのルールがあります。
    屋台カフェ『ウルタール』で出しているコーヒーを帝国図書館でも出すということです。『ウルタール』で出しているコーヒーは直木が、
    行っていた純喫茶から受け継いだものでした。店主が死んでしまい、一部の物は常連であった直木に形見分けされているのです。
    ラヴクラフトはコーヒーを淹れることが出来ました。覚えました。
    「僕も飲みたいな。コーヒー」
    「芥川」
    コーヒーを淹れようとすると別の声がしました。ラヴクラフトが嫌そうな顔をします。嫌そうな顔と言っても彼に慣れていないと
    表情が変わってない……となりますが、嫌そうでした。芥川龍之介が話しかけてきたのです。去年の年末の冬、直木と一緒にごろごろして、
    年末を過ごしたかったのに芥川は直木を旅行に連れていてしまったので、それ以降、ラヴクラフトは芥川は好きではありませんでした。
    「木曜会はどうしたんだよ」
    「これからだよ。直木さんも出てみる? ラヴクラフトさんも、夏目先生がおやつを出すって」
    「おやつ……」
    「出ていいのか」
    「歓迎だよ」
    木曜会は夏目漱石が主催している会です。夏目の選ぶおやつは美味しいのです。
    「植村……芥川君も、ラヴクラフトさん」
    「久米。コーヒー。飲む? 淹れる。ナオキ、私。一緒。芥川、仕方ない」
    「芥川君。前から思っているんだけれどもラヴクラフトさんに嫌われていないかい」
    久米正雄がやってきました。ラヴクラフトの言葉を解読して芥川の方を向きます。芥川と久米は複雑な仲のようでした。
    彼は直木とも親しいのです。
    「会が始まるまで時間があるからコーヒーを飲もうよ」
    「そうっすか。出てみるか。木曜会。最後のおやつを食べるだけでいいし」
    「行きます」
    おやつにひかれてラヴクラフトは木曜会に行くことにしました。芥川も久米もラヴクラフトならば仕方がないとなっています。
    久米が窓の外を見ました。
    「雨、止まないけれど……まだ涼しい方、かな」
    「暑い。嫌。寒い。嫌」
    「丁度いい季節はどこにいったのやら」
    「秋、来るのかな」
    酷暑すぎて秋がいなくなりそうだと皆で想いながら、木曜会の前のコーヒータイムをすることにしました。
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