シュトーレン美味しいシュトーレンはドイツのフルーツケーキである。
クリスマスの期間前に買い、クリスマスまで少しずつ食べるのだ。
クリスマスを待つ四週間のアドベントの前に少しずつスライスして食べるのだ。
「こら!」
「シュトーレン。食べます。少しずつ」
「少しの意味が違う!!」
「怖っ。食べすぎ」
なんだ? と直木三十五がラヴクラフトの部屋を訪れるとボードレールが大きなシュトーレンを四個ラヴクラフトから取り上げていた。尾崎放哉も二つ、シュトーレンを持っている。
「……もしかしなくてもハワードがこれを全部食べるつもりだったのか?」
「食べます。少しずつ」
「どこが少しだ。スミが呼んでなかったらお前は一つを全部今食べるつもりだっただろう」
「少しずつの意味が違うな」
一つのシュトーレンを少しずつスライスして食べるのがやり方だ。確かにシュトーレンは美味しいのだが高カロリーなのである。沢山食べればお腹を壊してしまう。
ラヴクラフトの側でスミが鳴いていた。
「食べる」
「我慢だ」
「食べすぎを心配してるからな。ハワード」
「ナオキ」
「落ち込むな」
放哉にしろボードレールにしろラヴクラフトの胃を心配していた。直木がラヴクラフトの頭に手を置く。ラヴクラフトは座っていた。
「ハワード!! シュトーレンは一つをスライスするのだぞ!!」
ポーが、保護者が来た。