アイスクリームよりあまい アイスが、無い。
冷凍庫の引き出しを開けた瞬間、黒羽快斗は絶望した。
買い置きしてあるアイスの在庫が、知らぬうちに底をついていたのである。
アイスクリームが大好きなのは子供の頃から変わらず、大学生となった今でもそれが好物であることにかわりない。故に、スーパーで買い物をするたび、次に買い物する日まで尽きないように計算して購入している、のだが……。
「そうだ。あれだ、あいつにやっちまったんだ」
一昨日のことだ。新一が遊びに来て、やることやったあとにアイスを食べていたら珍しくあいつも食べたがって、慈悲の心で一本恵んでやったのだった。そのことをすっかり失念していて、まだあると思ったまま最後の一本を昨日食べてしまったということだ。
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