モブ男くんが風紀委員長に告白する話「ごめんなさい。貴方の気持ちには応えられません」
そう言って、アダムくんは丁寧な仕草で、俺に頭を下げた。
放課後、鮮やかなオレンジ色の夕日が差す教室の片隅で、俺たちは二人きりだった。というのも俺がこの時間、この場所に、彼を呼び出したからだ。
俺はアダムくんのことが好きだった。いや、きっと今でもその気持ちは変わらない。凛とした立ち振る舞いの中で時々見せる、憂いのある表情に、俺はたまらなく魅せられていた。手を伸ばしても届かないような存在を、自らの手で救いたいだなんて、烏滸がましくも思ってしまったのだ。
俺は彼と大した関わりも持てないまま、日々を過ごしていた。それでも、なんとかして俺と彼とを繋ぐ何かが欲しかった、それだけだった。それだけではこうなることなんて、初めからわかっていたはずだった。
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