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    kamonomira

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    モブアダ モブ男くんが風紀委員長に告白する話
    昔どっかしらに投げてた気がするけどどこに投げたか忘れたのでここに再掲します。

    昔出した本「風紀委員長の秘密」(支部再録→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21947860 )とちょっと繋がりがあったりなかったりします。

    モブ男くんが風紀委員長に告白する話「ごめんなさい。貴方の気持ちには応えられません」
     そう言って、アダムくんは丁寧な仕草で、俺に頭を下げた。
     
     放課後、鮮やかなオレンジ色の夕日が差す教室の片隅で、俺たちは二人きりだった。というのも俺がこの時間、この場所に、彼を呼び出したからだ。
     俺はアダムくんのことが好きだった。いや、きっと今でもその気持ちは変わらない。凛とした立ち振る舞いの中で時々見せる、憂いのある表情に、俺はたまらなく魅せられていた。手を伸ばしても届かないような存在を、自らの手で救いたいだなんて、烏滸がましくも思ってしまったのだ。
     俺は彼と大した関わりも持てないまま、日々を過ごしていた。それでも、なんとかして俺と彼とを繋ぐ何かが欲しかった、それだけだった。それだけではこうなることなんて、初めからわかっていたはずだった。
    「そうか、そうだよね……」
     心のどこかに存在し続けていた、根拠のない希望が今、粉々に砕けた。自らの招いた結果だというのに、重苦しい気持ちに押しつぶされそうで、俺は教室の床をただ見つめた。
    「……もういいですか」
     彼の言葉にハッとして、顔を上げた。夕焼けに照らされたアダムくんは、申し訳なさそうに俺を見つめている。俺の無言を肯定と受け取ったのか、はたまた俺に痺れを切らしたのか、アダムくんは俺に背を向けた。
    「あ……待って!」
     咄嗟に発してしまった言葉に、アダムくんが振り返る。彼を引き留める理由を探すため、必死になって頭を働かせた。
    「あ、あの……どうして、俺じゃだめなのかな」
     言ってしまった。こんなことを聞いても意味はないのに。
     急に何もかもが恥ずかしくなってきた。じんわりと篭る感情が溢れそうになって、俯いてぎゅっと目を瞑った。
     静かな時間がただ流れる。いっそ彼が何も言わずに、何も見なかったことにして、ここから去ってくれたなら、なんて思った。
     その時、頬に冷たいものが触れた。反射的に目を開く。そして、何が起こっているのかを理解するより先に、唇に触れた柔らかな感触に思考を支配された。
     やがて、永遠とも思えるような瞬間が終わる。今までにないくらい近いアダムくんの顔に、俺の頭の中は真っ白になっていた。
    「……貴方は、俺のことを何も知らないから」
     俺を見つめる金色の奥で、どろどろとした闇が渦巻いている気がした。
     それから先のことはあまり覚えていない。いつのまにか一人きりになっていた教室で、彼の冷たい熱と、唇に残るミントの香りだけが、脳裏に焼き付いていた。
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