Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    pun0609

    @pun0609

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 42

    pun0609

    ☆quiet follow

    ゲーム本編前大人ルク(コーヒーとココアが好きな飲み物だったので)で父さん回想

    #williams_60min 「コーヒー」 久しぶりの休日。買ったっきり手付かずだった本でも読もうかな、なんて考えながらコーヒーを入れる。今日はゆっくりできるからドリップコーヒーで。ミルクと砂糖もたっぷり入れて、カフェオレにしちゃおうかな。
     コーヒーは好きだ。本当は道具を揃えて豆から入れてみたいけど、今は色々調べる時間がないし教えてくれる人も――父さんはもっぱらインスタントコーヒーを飲んでいた――いない。だから僕は、行きつけのコーヒーショップで売られているドリップバッグを愛飲している。ドーナツに合う、おいしいコーヒーなのだ。
     ゆっくりとお湯を注ぐ。いい香りがして、思わず笑顔になる。年季の入ったマグカップは父さんがコーヒーを飲む時に使っていたものだ。父さんが僕に買ってくれたマグカップより大きいから、大人になった今はこっちを普段使いにしてしまった。もちろん小さい方も使っている、例えばめいっぱい思い出に浸りながらココアを飲みたい時なんかに……。
     父さんはあまりミルクや砂糖を入れてなかった。ブラックで飲むのはカッコイイだろう?なんて言って笑ってたっけ。父さんの――大人のマネをしたくて父さんと同じものを飲んだ日、あまりの苦さで泣きそうになったのを覚えている。というか、ちょっと泣いた。お前にはまだ早かったみたいだな、と笑いながら父さんは僕の頭を撫でて、マシュマロを浮かべたココアを作ってくれた。甘くて、あたたかくて、ほっとする味だった。
     マシュマロは特別な時だけだったけど、父さんはよくココアを入れてくれていた。自分のインスタントコーヒーはさっさとお湯を入れておしまい、その後僕のココアを丁寧に作っていた。当時の僕は、父さんも本当はココアが好きなんじゃないかと思っていたけど、あれはきっと僕のためだったんだろうと今は分かる。
    「父さんは僕の事、すごく甘やかしてくれてたな」
     僕はコーヒーを一口飲んで、誰に聞かせるわけでもなく呟く。広いキッチンにはコーヒーのいい香りがしていた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💙🍩☕💙💞💞💞💞💞💞💞😭😭🙏🙏🍩🍩
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    sakikuryo

    REHABILI高杉社長について書きたい咲紅さんはあの川の土手にいっせいに彼岸花が咲く頃、国道にかかるしろい歩道橋の上で認めざるを得なかった変容についての話をしてください。

    #さみしいなにかをかく #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/595943
    社長+ぐだ謎の時空の謎のレイシフトだと思ってふわっと読むことを推奨
    社長+ぐだ
    ぐだの性別はふわっと不問

    ==
     股の下をくぐって大型車が何台も行き来するというのは、ことによると吹っ飛ばされそうな心許無さを感ずるものらしいが、その点、高杉は状況をいくらでも楽しむ度量があった。酔狂と言い換えてもいい。直接触れたわけでもないのに、アスファルトの振動が柱を伝って、片側二車線道路を大きく跨いだ歩行者用の橋を震わせる。
     歩道橋のさびた手摺を掴み、うわあ、と小さく呟いたマスターはと言えば、ワイバーンに追われている時よりも、ともすると、危機感めいたものを横顔に湛えている。おかしなやつだ。高杉はそう思って、しかしふと、よく知っているからこそ怖いこともあるのだろうと思い直した。ピストルを不用意にべたべた触るのはピストルが何なのか知らないからだ。絵巻の中の妖怪にできることだってたかが知れている。高杉にとっては呪いの類よりも刀のほうが、生々しく死を感じさせるものだったし、あるいは畳に敷かれた布団のほうがおぞましく生を鈍らせるものだった。自分より百年か二百年、後の世に生まれたマスターなら、巨大なイソギンチャク以上にお四トントラックが恐ろしいことだってあるのだろう。
    2634