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    takaso37206509

    @takaso37206509
    主に自創作の資料を置いています。楽しめるかわかりませんが、寛大な方が覗いてくださったら嬉しいです😊✨

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    takaso37206509

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    まのはさんの描いてくださった手帳キーランを見て生まれたお話です😊

    【シナリオ】キーランと手帳この屋敷で、エーヴリードール達と暮らすようになってから一年が過ぎた。

    エーヴリードール達はみんな僕に優しい。
    いつでも僕の世話をしてくれるし、話し相手にも、遊び相手にもなってくれる。
    元々おじいちゃんが僕のために作ってくれた人形達だからなのかもしれない。

    僕にとって彼らは大事な家族。
    こんな素敵な家族に囲まれて暮らす僕は世界一の幸せ者なのかもしれない。

    だから…きっと僕はおかしいんだ。
    こんなに幸せな生活をしているのに、時々どうしようもなく不安になったり、寂しくなったりするなんて。

    「ぼっちゃま、何か考え事ですか?」

    「セバスチャン!?な、何でもないよ!ちょっとぼーっとしてただけ!」

    「さようでございますか。」

    彼は執事のセバスチャン。
    エーヴリードールの中で、唯一実在の人間がモデルのエーヴリードール。
    モデルはおじいちゃんの亡くなった親友・藤田光雄さん。
    おじいちゃんが言うには、とってもひょうきんで、聡明で、誰からも愛される存在だったのだそう。

    セバスチャンを見ていると、おじいちゃんが彼をモデルにしたかった理由がわかる。
    僕もセバスチャンがいなくなったらとても寂しいから。
    エーヴリードールはみんな優しいけど、先生みたいに色んな事を教えてくれるのはセバスチャンくらいだ。僕の大好きな先生。

    「今日はぼっちゃまにお渡ししたいものがあるのです。」

    そう言うと、セバスチャンは奇麗に包装された小箱を取り出した。

    「わぁ!開けてもいい?」

    「もちろんでございます。」

    リボンをほどき、包装紙を外して、小箱の蓋を開ける。
    中には茶色い革の手帳と万年筆が入っていた。

    ……セバスチャンには申し訳ないけど、ちょっとがっかり。
    あまり面白いものでは無かったから。

    「おもしろいものではなくて申し訳ありません、ぼっちゃま。」

    「そ、そんなことない!君の気持ちが嬉しいよ、ありがとうセバス!」

    「ふふ…それでは、ぜひ今の気持ちをその手帳に書き込んでください。」

    「え?」

    「『なーんだ手帳かー!おもしろくないなぁ!』」

    「えっ!?」

    「本当はそう思ったでしょう?ぼっちゃま」

    「……思いました。」

    「でも、私にはそう言わなかった。それは、あなたが優しいお方だからです。」

    「セバス…。」

    「ぼっちゃまは優しい。だからこそ、私達には話せない事がある。

    私達はぼっちゃまのお言葉でしたら、どんな事でも受け止める所存です。
    どんな事を言われようと、私達がぼっちゃまを嫌う事は絶対にありえません。

    しかし……ぼっちゃまはそれをわかっていても、私達には話せない。」

    「……変な事を言って、君達を傷つけたくないんだ。
    君達の事が大好きだから。」

    「それでも、ぼっちゃまの『素直な気持ち』を
    心の中に閉じ込めてはいけないのです。」

    「僕の『素直な気持ち』……?」

    「えぇ、先ほどの『手帳なんてつまらないプレゼントだ』。
    これはぼっちゃまの『素直な気持ち』。
    しかし、それを『悪い考え』だと否定して、心の中に閉じ込めてはいけないのです。」

    「じゃあ…どうしたらいいの?」

    「自分の『素直な気持ち』を否定せずに、受け止めるのです。
    僕は『手帳なんてつまらないプレゼント』だと思った、と。それだけで良いのです。
    その考えが良いか悪いか判断し、ご自分を責めてはいけません。

    そして手帳に教えてあげましょう。『僕はこう思ったんだ』と。
    手帳はぼっちゃまが何を言っても傷つきませんし、あなたを責める事もありません。」

    「あ…」

    「この手帳に『あなたの素直な気持ち』をたくさん逃がしてやるのです。
    明るい気持ちも、暗い気持ちも。そうすればきっと、ぼっちゃまの頭も心もスッキリするはずです。」

    「セバスチャン…」

    セバスチャンは僕の悩みを察してたんだ。
    だからこの手帳をくれたんだ。

    「素敵なプレゼントありがとうセバスチャン……。
    今度こそ僕の本当の気持ちだよ?」

    「えぇ、お顔を見ればわかりますとも。」

    その晩、僕はさっそく万年筆を手に取った。
    明るい気持ちも、暗い気持ちも、思いつく限り手帳に教えてあげた。
    インクがページに染み渡るたびに、僕の暗い気持ちも軽くなっていくようだった。

    ―――数時間が経ち、ようやく手帳を描き終えると、心地よい疲れがやってきた。
    心のモヤが晴れて気分が良い。今日はぐっすり眠れそうだ。

    明日は何を話そうか。
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