お手をどうぞ、my lord.定期的に開いている舞踏会の日、楽しみで退屈なその日がやってきた。
他所の国の友人や顔見知りに招待状を出して、他にも国民の中から抽選をすれば、ドレスやスーツは城の所蔵から貸し出すこともしていた。
来る人みんなが楽しめるようにと、色々と考えてあちこち奔走するのは楽しいものだった。
しかし実際にパーティが始まると、司は基本的には広間の王座に座ったまま、時々食事を摘むか、来賓と少し世間話をするくらいしかすることがなかった。
否、王の威厳を保つため、と幼少期からの教育係のじいやに「ただ座っていなさい」としつこく言われていたのだ。一介の貴族、ましてや平民と踊るなんて以ての外だと。
皆が楽しそうにダンスや立食を楽しんでいる中、──確かに人々の笑顔を見ているのは大好きだが──司は1人お行儀よく椅子に座っているだけの状況をもどかしく思っていた。
1971