悠真が亡くなってしばらく経った
雅さん始め６課の面々は相変わらず忙しくしているし
リンも表向きは平気そうに見える

僕の知らないところで悠真と付き合いがあったらしい
ライトさんは最近なんだか雰囲気が変わったというか…
目の毒というか　やけに艶っぽくてドギマギしてしまう
どうしてしまったんだろう？

本人に直接聞くのは野暮だよなあ　なんて
暇そうに店番してるライトさんに目をやると
陽炎みたいな影が現れてゆらゆらと人の形になり
それは悠真の顔をしていた
なんだろうあれは　幽霊というやつなのでは！？
どうしよう　本物を見てしまったかもしれない

僕の視線に気付いたソレはライトさんの腰に
手を回し　唇に人差し指を当てて『黙ってろ』
とウインクまで付けてかき消えた

「ごめんね相棒　このひとだけは譲れないんだ」


ビデオ屋で店番の手伝いをしていると
耳元で悠真が囁いてきた

『アキラくん　僕のこと見えてるよ』

「……大丈夫なのか？」

『僕としてはちょっかい出されたくないから
牽制しておきたい』

「どういうこと……ん゙ん゙っ！！」



お客様がいなくてよかったよ　僕が居るのに
おっ始めないでくれるかい　このバカップル
ボンプ達の教育に悪いだろう？

「……悠真　うちはラブホテルじゃないんだけれど
アダルトビデオは取り扱っていないよ」

「……久しぶりに会った相棒に随分な言い方
じゃない？再会を喜んだりしてくれないわけ」

「セクハラ幽霊なんて明らかに悪霊じゃないか
雅さんを呼んでこようか」

「課長はやめてマジで　即斬られる
ライトさんにくっついてるのは一定距離から
離れられないからだよ」

「セクハラにも理由があるとでも？」

「ありますよそりゃあ　栄養補給という
立派な理由が」

「そうなのかい？ライトさん」

「俺に振ってくるな」

「最近のライトさんはお色気が目に余ると
思っていたけれど　スケベ幽霊にセクハラされて
いたんだね」

「…………合意だからセクハラじゃない」

「正直友達の性事情なんてあまり知りたくない
のだけれど　君達が乱れてるのはよくわかったよ」

「とりあえずさあ　みんなには黙っててくんない？
僕が成仏してないこと」

「悪霊を野放しにするメリットがあるとでも？」

「真面目なお仕事もしてるんだよ？
ライトさんのボディーガード　ネガティブな人には
悪い物が沢山寄ってきて大変なの」

「店長俺は現状に満足してる　放っておいて
くれないか」

「……本当にそれでいいのかい？」

「ずっと一緒にいられて幸せなんだ　離れたくない」

「わかったよ　誰にも言わない
ただリンがどうするかは責任持たないよ」

「「えっ！？」」

「悠真とライトさんがチュッチュしてる……」

「わ――――――――！！！話を聞いてリンちゃん！」


悠真はリンの説得に小一時間費やした
土下座の画像は今後の交渉の材料に
取っておこうと思う