神隠しにあった審神者の話(髭さに)※「神隠し」を求めて読むと拍子抜けすると思います
演練会場の隅に年季の入った東屋風の茶屋があり、そこは刀剣男士たちに指示を出した審神者が一試合終わるまで待機する場所にもなっていた。
緋もうせんの敷かれた長椅子に腰かけ、お茶を啜り花見団子を食べる。
巨大モニターを眺めながら話すことはやはり刀剣男士にまつわるものが多かった。
実装される新刀剣男士、次の極、走ったところで時間が足りなくなるイベントの愚痴、そして――審神者は少しだけ耳をそばだてた。
後ろの席の審神者たちが口々にとある出来事について話している。
「あの審神者、やっぱり神隠しに遭ったんだって」
はばかるような響きではあったもののその声は妙に弾んでいた。取り囲むようにして座っていた審神者たちが同調するように声をあげた。
6853