雪解け「俺に不満があるように見える」
星穹列車に乗るか、宇宙ステーションに残るか、迷っていたときに丹恒に放った言葉だ。
今思うと、彼が本当に俺に不満があったとしても、面と向かってこんなことを言うべきではなかったと思う。ただ、いくら彼が世話焼きだからといって、冷静で、常に適切な判断をしている人物が、こんな不審者と旅をするのは嫌がるだろう、と思ったのだ。もしくは、なのも姫子も自分が列車に乗ることを歓迎してくれていたから……列車に乗らない方の理由を探していて、それを彼に押し付けていたのかもしれない。
「お前が星穹列車に乗車する件について言っているのなら……それは考え過ぎだ。」
彼の表情は依然変わらず、本当に何の不満もないのか、不満があってそれを隠しているのか、はたまた俺に全く興味がないのか……それらを窺い知ることは不可能だった。
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