信じられない「本当にこんなものが作れるんだな」
掌の中には普通の風邪薬と変わらない大きさの錠剤がある。目の前のアズールはそれはもう得意満面の笑みで気取ったポーズを取った。
「ええ、我が社で長年試行錯誤をして完成させたものです。きっと貴方のご期待に添えると思いますよ」
「……副反応とか、薬が原因で最悪死んだなんてケースは?」
「そんな危ないものをご案内するわけがないでしょう。弊社の沽券に関わります」
大人になってからも、腹を立てた時に眉を釣り上げる癖は変わっていないようだった。そして後ろに控えていたジェイドがこれまた初見殺しの笑みで続けた。
「体内に入れるものですから不安になるのも当然ですよね。ですが、この薬は本当に安全なものです。人によっては副作用として眠気や吐き気が起こる場合がありますが、それはどの薬だって同じでしょう?」
2083