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    kanamisaniwa

    pixivメインに二次創作(刀剣乱舞、ツイステ、グラブル、FGO等)やってます。超雑食でオリキャラ大好き病を患う腐女子です。ポイピクにはかきかけだったりネタだけの文章を投げたいです。

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    kanamisaniwa

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    カリジャミ拙作シリーズ、サルマーとムカクの結婚に関するひと騒動ネタ

    #カリジャミ
    kalijami

    「私はアジーム家の当主の娘だもの、本当はアジーム家の商売ために有力な他の商家とか取引先と政略結婚しなきゃいけないでしょ?でも私はムカクとじゃなきゃ嫌よ。他の男とは結婚しないわ。かといってアジーム家の使用人にアジームの娘が嫁入りなんて不相応だなんだ言う人がいるのもわかってる。
    だからね、お父様。私、お母様が残してくれた財産だけをもって、"アジーム家のお金を一切使わず"お嫁にいくわ。お母様はご自分の結婚のときの持参金を全部私に残してくださったから、当分困らないし、カリムお兄様が財産運用をしてくれるって言ってくれたわ!手数料は兄妹割引してくれるって。
    それで十分暮らしていけるわ。アジーム家のお金を使わないから叔母様方みたいに盛大な結婚式や披露宴は出来ないし、これから贅沢な生活も出来ないけど、それでも私、ムカクと結婚して幸せになりたいの。だから、お父様お願い!私のお嫁入りを祝福して!」



    一時間後。

    「………出来すぎるくらいに出来た娘で結構なことだと思うが。なぜ"そう"なっている」
    「娘の結婚に大喜びで盛大に結婚式と披露宴をしようと晴れ着やら嫁入り道具やら準備しようとしたところで、当の娘に"父親(アジーム)"に頼らず地味婚する!って言われて大ショック受けたそうです」

    最奥宮に呼び出され何事かとかけつけたアイハムは、諸々の話を聞いて内心ため息をついた。
    目の前には絨毯の上にすわるエリムの膝に倒れ混んでしくしくと涙しているハールーンがいた。
    そんなハールーンに呆れた顔をしつつ、それでも膝を貸してやっているエリムは珍しく悩んだ顔でいった。

    「正直、私(バイパー)としてはサルマー様の御提案はものすごく助かるんですけどねぇ…。ムカクとの婚約発表してからこっち有象無象に絡まれて、嫉妬やら批判やらなんやら…私とジャミルとウカク辺りにくるなら返り討ちしますけど、他の親戚達まで飛び火してて面倒この上ない…サルマー様がアジーム家の財産を持たずに身一つでお嫁入りしてくださるなら"金銭"に対する批判だけでもましになりそうだし」

    エリムがふーっとため息をつきながら言った。
    アジーム家当主の長女、しかも次期当主と同腹の妹である娘を一族の若者の嫁に貰うとあって、筆頭として調整やらなんやら多忙(裏工作の比率大)なエリムの正直な内心の吐露にアイハムは肩を竦めた。

    「娘どころか結婚すらしてない俺が言うのは何だが、本人が希望していて穏便に済むならそうしてやればいいだろう。お前が言うところの有象無象のせいでムカクがここ最近心労で目の下に隈を作ってるし…俺と同僚が潰したムカク暗殺計画が両手の指の数を越えそうだぞ」
    「あー、すみませんね。私も手がまわってなくて…」

    ある程度覚悟していたとは言えアジームの娘の結婚って本当に色々大変ですね…と遠い目をするエリムに、アイハムはふと気がついたことを尋ねた。

    「そういうお前もジャミラ(娘)がいるだろう。そろそろ年頃じゃないのか?」
    「あー…あの子はサルマー様とは真逆で…典型的な熱砂の国の娘、な性格なんですよね…。そうあれと育てた訳じゃないんですが、本人の性格が大人しくて従順で家事が趣味な子で。なので私(父親)が良さげな男を見つけて嫁がせてあげようかと思ってますよ。出来れば身分は離れすぎず、金持ちではなくともしっかりした職についていて、亭主関白はNGですが頼りがいがあって、厄介な親戚が居なくて可能なら妻は一人でいいと思っている男が良いですね。ジャミラには家財道具多めの嫁入り道具と持参金を持たせるだけ持たせて…ああ、なるべくここから近い所に家を持ってる男の方が助かるけど…」

    エリムはつらつらと娘婿の条件を挙げて考え込みはじめた。なんだかんだ婿になる男への注文が多い。男親はそんなものだろうか、とアイハムが興味深く思っていると、なにかが琴線に触れたらしいハールーンががばっとエリムの膝から顔を上げて叫んだ。

    「そうだろう?!嫁ぐ時にはたくさん持たせてやりたいだろうが?!相手が誰であれ年齢的にサルマーが一番先に結婚するだろうと覚悟はしていたしそのためにあれこれ準備していたんだぞ?!娘の晴れ姿のために奔走するのが父親というものだろう?!いつまでも手元にいて欲しいのが正直な所だが将来の幸せのために手放す時にはこつこつ積み立てていた財産は勿論注文を入れていた嫁入り道具もあるし絹地を押え済みの花嫁衣裳も…あぁぁ、サルマー、立派に育って…男を見る目も確かだムカクは良い男だ…お父さんは嬉しいがさみしいぃぃぃ…」

    ハールーンは叫ぶだけ叫んで再びずるずるとエリムの膝に沈んだ。学生時代だってこんな風にぐずぐずになったことはなかったハールーンの様子にアイハムはあきれつつ、なんとかハールーンが気持ちを持ち直すよう話をもっていこうとした。

    「まぁ、なんだ。下手な商家に嫁にやって後々心配するより、一番身近な家でいつでも会えると思えばいいんじゃないか?」

    ムカクがアジーム家に代々使えたバイパー一族であり仕事も変わらない予定なのだから、ハールーンはその気になればムカクへの命令一言でサルマーといくらでも会えるしそれこそ口出しし放題だろう。他所の家に嫁に出した場合は絶対に出来ないことだ。
    アイハムの言葉にエリムが同調した。

    「そうですよ旦那様。それこそ結婚を期にムカクに持たせる家がアジームの敷地内にあるんですし、いつでも顔をみれると思えば…遠くに嫁にやるかわりに近くで義理の息子が増えたくらいに考えてください」

    それが一番精神的によさそう、とアイハムとエリムが頷きあい、楽しみにしている結婚式とかその辺はうまいこと相談して…と続けようとしたとき。
    突然、ハールーンががばっ!!と勢い良く起き上がった。

    「そうだ!!息子に貰えばいいじゃないか!!」
    「は?!」
    「サルマーをバイパー家に嫁に出すんじゃなく、ムカクをアジーム家に婿に貰えばいい!そうすればサルマーは私(アジーム)の娘のままだからいくら金をかけて結婚式をしようが財産を持とうが誰も口出しできんだろう!しかも私は出来が良い息子が増えて万々歳だ!」

    最高のアイデアだ!と言わんばかりにそう言いきると、ハールーンはそのまま最奥宮から走り出ていってしまった。
    ちょっと待て!とエリムが止めるまもなく(長時間膝の上に頭を乗せられていて痺れていたため動きが遅れた)、遠くから
    「サルマー!嫁入りは中止してムカクをお婿さんに貰おう!」
    と、力説している声が聞こえてきて、エリムが本格的に頭を抱え出すのをみながら、アイハムは(…ウカクとムカクの胃が捻り切れなければいいが)と遠い目をしたのだった。


    END?


    カリジャミいつもの拙作シリーズで、カリムの妹サルマーとジャミルの従兄弟ムカクが結婚するんだけど、当初サルマーは亡きお母さんが残してくれた財産(notアジーム家財産)だけ持ってバイパーにお嫁にいく覚悟していてハールーンパパがΣ(゚д゚lll)ガーンってなってる話をいつか書きたい…という呟きからこんな話が出来上がりました。
    そのうち話に出てきたジャミルの妹のお話もかきたい…
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    kanamisaniwa

    MAIKING
    三ヶ月後。
    アズール先輩からの提案で参加を申請したアジーム家雇用希望者の選抜試験当日、私はジャミル先輩、エリムさん、そして面白がってついてきたフロイド先輩(本当は諸々ド素人の私を心配してついてきてくれたのをちゃんと知ってる)と一緒に熱砂の国にあるアジーム家所有の別荘の隣に設置された試験会場控えにいた。
    エリムさん曰く、アジーム家所有の不動産の中では中規模ながら市街から遠くて使い勝手が悪く最低限の手入れしかしていなかった別荘で、確かに選抜試験をするには丁度良い物件だとか。なんなら爆発させても大丈夫ですよ、と言ったエリムさんの顔はわりとまじだった。
    そしてその別荘の隣に建てられた仮設の集合場所兼待機場所で簡単な説明を受けた。といっても事前にアズール先輩が収集してくれていた情報と内容はほぼ同じで、あえて追記するなら試験会場である別荘のあちこちにライブカメラもとい監視カメラが設置されていて、その映像はリアルタイム公開されるので別荘内の様子はもとより他の参加者の様子を逐次確認できること、そして本当に魔法でもなんでも使用可、建物への損害も免責するから全力で目標を破壊してみろ、という言葉が説明担当からあったことくらい。
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