・挽歌シリーズじゃない&ユンファ様の出ないジョン・ウー作品初見。
どんな感じかな〜？って軽い気持ちで観始めたら、想像を超える壮絶シーンの連続で、これはちょっと挽歌シリーズみたいには何回も周回は出来ない映画かな…と思った（とにかく重いししんどいし…二回観たけど）。でも観ると心を揺さぶられる瞬間がたくさんある良い映画なことには違いないと思う。

・挽歌シリーズっていい意味でチャンバラ的な楽しさとかケレン味が味わえる映画だと思ってるけど、これは命のやり取りの生々しさに現実味があって、観てて辛いし何度も胸を抉られる気持ちになる…。血の出るシーンも、血糊だって分かってるんだけどすごく惨く見えた。

・人を狩る楽しさを知りそれが日々の当たり前のことになってしまった人々の姿がものすごく怖い。
普通の日常が一瞬で死と隣り合わせの状況に変わる生活が20年近くも続くのを想像すると気が遠くなる。今こうして平和に暮らせていることに有り難みを感じたし、小さな力かもしれないけど選挙とかで政治に参加して自分の意思を示していくべきだと思った。選挙があるのも当たり前のように思えるけどとても幸福なことだよね…。

・土砂降りの結婚披露宴、船の上での銃の突き付け合い、洞穴に作られた幻想的な寺院とかシチュエーションがドラマチックなところがすごく好き。

・タイトル回収すると思ってなかったので、Bullet In The Headの意味が分かったときは完全に不意打ち喰らった気持ちだった。

・フランク、三枚目なドラ息子だけどどんな状況下でも友達思いでいいヤツだな…好きだな…と思ってたので、彼の運命に翻弄された果てに迎える最期は本当に悲しくて切なかった…。ジャッキー・チュン初見だったけど、序盤と終盤で演技の振り幅がすごい事になってて心を掴まれてしまった。

・最後の10分から急に挽歌モードに突入して申し訳ないけどちょっと笑ってしまった。いつものカーチェイス！いつもの爆発！でテンションMAX笑
クライマックスのポールの悪堕ちぶりは、観てて思わず歯軋りして身悶えしてしまうほど心底憎らしかった…！でもそう思わせるほどの真に迫った演技でめちゃくちゃ良いな〜と思った。フランクの骨に話しかけるシーンの狂気に満ちた姿は悪役だけど何度も観たくなるシーンになった。本当にこの上なく悪い奴なんだけど、あれだけ強い欲望に取り憑かれてるのもそれまでに育った環境のことがあるので、こいつ〜〜！！と思いつつも彼の全てを憎み切ることは出来なくて、すごく心に残るキャラだった。自転車競争のシーンとカーチェイスのシーンが重なるシーンは胸がぎゅーっとなった…。

・がっつり戦争絡みの映画ってあまり観たことなかったし観るのも避けがちだけど、心に余韻がすごく残って観終わってからもずっと後を引く感じだった。そんなに数は観れないかも知れないけど、時にはそういう作品に触れて人間が直面する悲しみや遣る瀬なさを心に取り込むことも必要かな…と思った。