檸檬14 ⅵ. 水柱と妹弟子
猗窩座との戦闘は苛烈を極めた。
そもそも鬼同士の戦いは不毛だが、その上お互いに手の内を知り合うもの同士となれば、技も決まりにくくなる。日輪刀を手にしている炭治郎の方が若干の優位であるように思えるが、炭治郎は炭治郎で途中負傷した炎柱のフォローにも回っていたので実際は鍔迫り合いだった。
「それで、長期戦になった結果夜明けと共に幕引きですか。こちらは煉獄さんが深傷を負い、あちらは実質無傷。炭治郎さんの忠告を素直に聞き入れていた方が良かったのでは?」
猗窩座の拳に抉られた右脇腹やその他の傷の手当てを終え、事の次第を聞いた蟲柱は可愛い顔をして辛辣な言葉を放つ。包帯ぐるぐる巻きでベッドに横になっている炎柱は、「面目ない!!! 穴があったら入りたい!!!」と怪我人とは思えない声量で答えるので、炭治郎はヤレヤレと首を振る。
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