眠り薬
カタカタとキーボードの音が聞こえる。今何時だろう。オレ、今どこにいるんだっけ。なんだかすごくいい匂いがして、安心する――
「あ、起きた?」
「イデアくん……?」
もぞもぞと起き上がると、イデアくんが座っていた椅子をくるっと回してオレを見下ろしてきた。そうだ、ここはイデアくんの部屋だ。イデアくんの部屋にお泊りすることになって、一緒にイデアくんのおすすめの映画を観……って、映画!?
「わ! ごめん、オレ寝ちゃった? 映画は?」
最悪だ! イデアくんがわざわざオレが観れそうなのって選んでくれたのに。途中まではしっかり見てたし、内容も面白かった。それなのに、どうして寝ちゃったんだろう。
「大丈夫だよ。顔見て疲れてそうだなって思ってたし」
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