お題:朝焼け・朝帰り・一つ残らず 明るくなり始めた窓の方を向いて、煉獄が白いシャツに袖を通す。
宇髄に背を向けているから、逆光気味だ。さっきまで腕の中にあった躰がシャツ越しに影絵になる。
「あっという間だな。時間経つの早ぇ」
「そうだな。——だが、あぁ今日も生きていたと確認できれば充分だ」
「まぁね」
下衣だけを身につけた宇髄は煉獄の傍に寄ると左腕を取り、カフスボタンを掛けてやる。片手が塞がってしまった煉獄は、右手だけで首元のボタンを嵌める。
「ま、ちょいと慌ただしくても朝方に寝るのも嫌いじゃないけどな。肌が色づくのもよく見えるし」
「それはきっと朝焼けのせいだな」
煉獄は項から髪をざっと掻き上げた。
顕になった首筋に、ほんのついさっき見た色を想い重ねる。
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