オレンジ(だいだい色)「吉原に鬼が出た」
そんな情報にふと耳を傾ける。
鬼殺隊本部。
宇髄、煉獄の二人の柱は時間が重なって同じお白洲にて膝をつき、首を垂れ、お館様こと産屋敷耀哉への報告の最中、声を落として話していた隠の声がこの場にも届いてしまった。
じゃり、とも、からり、ともつかぬ小さな音が隣で聞こえて、宇髄は左側に座していた煉獄を振り返った。
「れんご……」
「杏寿郎」
産屋敷耀哉と宇髄天元が同時に声が出た。
金色の髪を惜しげもなく冬の日に晒し、首を垂れたまま白い玉砂利に両手を付く。皮膚に白く筋が浮かぶほど、ぎゅうと握りしめる拳の意味を二人は理解した。
そのうちに震え始めた金色の旋毛が、自分らへの報告ではない『隠の言葉』に打ちのめされたのだとわかった。
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