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    清(せい)

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    清(せい)

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    タル邪タル 双子 現パロ

    世界観説明のようなもの。
    無駄に長くてダラダラしてる。
    続き書き途中。


    設定が特殊。
    タの二面性を分離してみたら双子両方とも誰おま状態。
    創作は自分のためにあるので私が良ければそれでいい。
    なんでも行ける選ばれし者のみ読めばいいと思います。文句は受け付けません。

    #タル邪タル
    non-fat,Non-polar

    双子1「公子様、弟さんお見えですよ。」

    「ん?あ、ああ。 ありがとう。」

    学級日誌を簡単に書き終え、鞄を掴んで立ち上がる。

    「また明日。」
    そう言って にこ、と人好きの良い笑顔を貼り付ければ
    きゃあ、と黄色い歓声が沸き立ち、目の前の女の子は頬を赤く染めた。




    「ごめん、待たせた。」
    「ん。相変わらず人気だねぇ。」
    先程の様子を廊下から見ていた同じ顔の彼は、
    既に見飽きた光景について心底可笑しそうに笑う。


    夕焼け色に染まった廊下は、秋の風が吹き抜ける。
    肩を並べて歩く2人に集まる視線には
    面倒なので気付かないフリをする。


    2人に浴びせられるのは
    憧憬、羨望、それから…ドス黒い感情も。

    それら全てに背を向けて歩く。

    「学校であの呼び方されるのは気分は良くない。
    同い年なのに敬語なのも意味わかんないし。
    俺はお前が羨ましいよ。」

    「俺はぶあいそーだから、単に好かれてないだけだよ。」


    無愛想

    そう自ら形容した通り、
    この弟は気が乗らないもの、面倒だと感じるものには一切の興味も示さず、つまらない奴だ と判断を下せば、
    愛想笑いのひとつもしない。


    よく分からない物に興味を示し、面白いと感じたものには
    傍から見れば何が面白いのか分からないものでも、 心底楽しそうに笑う。

    己の感情に忠実で、素直すぎる程。
    兄からすれば 単純で分かりやすく、いつまで経っても子供 ぽい。かわいい弟だ。

    そんな弟はどうやら、同学年の知人たちには 「ミステリアス」で、近付きにくいらしいが、
    その接し方に妙なよそよそしさは感じられない。

    数時間の差で生まれたこの瓜二つの兄弟に、
    他の学生は、それぞれ別の近づきにくいオーラを感じているらしいけれど、
    兄にだけは、教員までもがあからさまに他の学生と態度を変える始末である。




    まあ、原因は1つしかないのだけれど。


    「公子様。アヤックス様。おかえりなさいませ。」



    はあ、と碧眼を伏せて盛大にため息をついた兄の横で、
    「校門前に停めるなっつったろ?」と紫と金の双眸が鋭さを持ち、待ち人を突き刺す。



    「しかし、」
    「はいはい、言わなくても分かってるからいいよ。
    彼は上に言われた通りのことをしてるだけだ。文句は子供を置いてさっと死んだ親父に言うしかないよ、アヤ。」

    「死人が口を聞けるわけないだろ。」

    「だから我慢しろってこと。」


    む、と顔を顰めて不機嫌さを顕にする弟の眉間をぐりぐりと指で伸ばしてやると いい子ちゃんめ、と小さく漏らした。




    丁寧に磨かれた黒塗りの車の後部座席に乗り込む。

    「今日はなんだっけ?」

    「飛雲商会が所属役員に、弊社の次期代表を紹介しておきたい とのことで。顔合わせを兼ねた会食です。」

    「俺まだしばらくは学生なんだけど…意味あるの?」


    「公子様が就任する頃に商会を継ぐ予定の役員だそうです。それに、お互いのいい刺激になるだろうと両社の代表が…」

    「ふーん、そう。」


    めんどくさいな、と素直な気持ちを漏らした時
    バチッと破裂音が車内に響く。


    「なに、なにしてんの!?」


    「ごめ、せいでんき。おれもびっくりした…」


    いってー、と痛みを逃がすように手を振ると
    小さくパチパチと紫の閃光が零れる。


    「最近抜いてなかったから溜まってた」

    「言い方」



    違う意味に聞こえるね、なんて紫と金の両目を細めてけらけらと笑う。
    神の目、と呼ばれるそれをそっと指先で撫でる。

    外界の光までも吸い込んでしまいそうなほどの深い紫色。それでいて透き通っているそれは、持ち主の左目とよく似ている。


    「俺は意外と使うから、そういうのはあんまりないかな。」
    人差し指を立てて小さな鯨を形成させる。
    ふよふよと浮かばせたそれを左隣の弟に向けて泳がせると、何を思ったのか、
    彼はぱくり とそれを口に含んだあと、飲み込んだ。

    「水は便利だからいいよねー」

    「そもそも神の目を持ってない人の方が大半だから。」


    あの日以来、
    使う機会が訪れない力に つまらない と態度で示すアヤックスを宥めるように言うけれど、
    それでも尚不服そうな顔をした彼は、シートに足を乗せて横たわった。

    タルタリヤの膝に頭を乗せて丁度いいポジションを探すようにもぞもぞと動く。


    丁度いいところを見つけたのか、大人しくなった彼は
    独り言のように言う。

    「神の目ってなんのためにあるんだろうね。」




    神の目。
    習った歴史によれば、数千年前から所持していた物は居たと言う。

    元々神の目所有者は多くはなかったようだが、
    時代が変わり、便利な物が増え、平和になっていく世界とともに、
    百年ほど前からその出現率は減少の一途を辿り
    現代では世界の人口の0.01%にも満たない希少なものとなってしまった。


    その希少価値から、神の目を狙う犯罪はたしかにあるが、
    所有者により返り討ちとなる場合が大半なため
    神の目所有者そのものを狙う犯罪より、模造品による一般人への詐欺被害の方が圧倒的に多い。




    「さあ?なんでだろうね。争いしか生まないのに。」

    神の目が出現したあの日のことを
    弟は覚えているだろうか。

    きっと覚えているんだろう。
    お互いに触れないようにしているから。


    いつか、あの時のことを話せる日が来るんだろうか。



    膝に乗せた弟の顔をじっと見つめる。
    眠そうにしているが、そろそろ目的地に着く頃だろう。

    寝るなよ。 と言いながら 前髪を梳く手つきは優しくて、
    矛盾している。

    思いついたかのようにニヤニヤ笑いながら
    前髪をかき分けて、その頭上で水を貯める。

    小動物を形成してからそっと額に乗せた。

    「ひっ、つめた!ちょ、なになに!?なんか動いてるんだけど!」

    「あははっ 暴れるな、膝の上で。痛いよ。」

    「ちょ、とってよ! 何のせたの!?」


    顔の上を歩き回る水でできた小動物をようやく捕まえる。

    「ハムスター!」

    もう、せっかく気持ちよく寝そうだったのに、と文句を垂れる。
    いつの間にか居なくなった水の塊は、ほんの少しだけ手のひらに湿っぽさを残していった。

    寝ちゃダメなんだってば という声とともに
    「到着です。」と声が掛かる。


    なんだって学業という仕事をこなしてきた後に
    また仕事をしなきゃいけないんだ、と思うけれど、
    誰に言っても仕方が無いので愚痴は飲み込んで
    行くよ、と声を掛けてから車を降りる。


    すっかり日が暮れた。
    伸びをしてから ふぅ、と小さく息を吐いて気合いを入れ直す。
    今日は早く切り上げれるといいな。そんなことを考えながら会場へと歩き出した。
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