チョコレートプレッツェルの誘惑「お兄ちゃーん!!」
無遠慮に開け放たれた扉に肩を跳ね上げる。慌てて荷物を机に置いて振り返ると、何故か満面の笑みを浮かべる麻里が顔を覗かせた。
「ノックぐらいしろよ!」
「あ、ごめんもう出かけちゃうと思って慌ててた」
今日明日はアジトに泊まりの予定なのだ。その荷物の準備が終わったところだったので、さっきまで出掛けていた麻里とは確かに行き違いになる可能性はあった。しかしノックはしてほしい。思春期は終わっているとはいえ男の子なので。
「はぁ…おかえり」
「ただいま!」
「それで?どうしたんだよ突然」
話しながら荷物と上着を手に玄関へ向かう。麻里は後ろから手を伸ばして鞄を開け、何か赤い箱を詰め込むとジッパーを閉めた。
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