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    ayayuzu__

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    大体寿月。閲覧注意のエッチな落書きとかはここ。
    その他作業進捗や自分の為のメモなんかも投げている。

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    ayayuzu__

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    「その目で見ないで!」
    導入部分だけできたので、尻叩きも兼ねて。
    箒星に若干煮詰まって止まってしまったので…

    ##寿月


     好きとは。
     心がひかれること。気にいること。
     尊敬とは。
     他人の人格や行為を高いものと認め、頭を下げるような、また、ついていきたいような気持ちになること。うやまうこと。
     恋愛とは。
     特定の人に特別の愛情を感じて恋い慕うこと。また、互いにそのような感情を持つこと。

     人は何をもって、自分の好きという感情を分類分けできるんやろう。人それぞれなことはわかってるけれど、そう思わざるを得ないことが多くなった。
     辞書を引けば、大抵どの単語もどの辞書でも同じような内容が書いてある。ネット検索をかけても一緒で、大まかな意味としてはきっとこれで合ってるんやろう。
     これに添えば、俺は確実に月光さんのことを好きやし、尊敬してる。間違いない。けど、けれど、最後だけは、どうしたらええかわからへん。

    「……月光さん、月光さんは恋って、なんやと思いますか」
    「そうだな。……その対象となる相手を通して自分と向き合うこと、だろうか。お前は?」
    「……わからへんから、聞いてるんです」
    「そうか。なら、もう一つ教えてやろう」

     笑うのが苦手や言うて毎日笑う練習をしてはるけれど、存外月光さんはよぉ笑う。言うてもにこにこーって笑うのが苦手って意味やろうし、その点に絞れば全然笑ってへんけど。でも、ほんまによぉ笑う。ふっ、て、息で笑うって言うんかな。
     ほんのちょびっとだけ上がった口角は、珍しく月光さんが考えてることをスケスケにしやる。俺はその笑顔が、苦手やった。

    「それは、ダブルスと同じで二人でするものだ」

     都合よく吹いた風が、憎いことに月光さんの髪を揺らしていった。はらりと動いた毛先の下から覗いた凪いだ海のような目が、逆光で煌めきを宿す。さくりと、軽やかに俺を刺してその場に縫い止めようとする。
     じわりと噴き出るみたいに競り上がってきた精神的な重圧を、利き手じゃない方の手を思い切り握りしめることで押し留める。ついでに奥歯もめっちゃ噛み締めた。多分、顔には微塵も出てないはずやし、背中の冷や汗も気付かれてへん筈や。

    「……そーですか。流石月光さん、物知りやね」

     月光さんが口元に手を添えて、小刻みに肩を揺らした。年上の余裕ってか、ムカつくわ。俺の嫌味は正しく受け取られて、その上で子猫の甘噛み程度の傷にしかならんかったらしい。

     ふーっ、と肺の中の空気を全部押し出すみたいに吐き出す。
     俺は月光さんのほんの少しだけ口角を上げて息で笑うその笑顔が、月光さんがいつものとは少しだけ違った精神的重圧をかけてくる前触れの笑顔が、苦手や。


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    ayayuzu__

    MAIKING「その目で見ないで!」
    導入部分だけできたので、尻叩きも兼ねて。
    箒星に若干煮詰まって止まってしまったので…

     好きとは。
     心がひかれること。気にいること。
     尊敬とは。
     他人の人格や行為を高いものと認め、頭を下げるような、また、ついていきたいような気持ちになること。うやまうこと。
     恋愛とは。
     特定の人に特別の愛情を感じて恋い慕うこと。また、互いにそのような感情を持つこと。

     人は何をもって、自分の好きという感情を分類分けできるんやろう。人それぞれなことはわかってるけれど、そう思わざるを得ないことが多くなった。
     辞書を引けば、大抵どの単語もどの辞書でも同じような内容が書いてある。ネット検索をかけても一緒で、大まかな意味としてはきっとこれで合ってるんやろう。
     これに添えば、俺は確実に月光さんのことを好きやし、尊敬してる。間違いない。けど、けれど、最後だけは、どうしたらええかわからへん。

    「……月光さん、月光さんは恋って、なんやと思いますか」
    「そうだな。……その対象となる相手を通して自分と向き合うこと、だろうか。お前は?」
    「……わからへんから、聞いてるんです」
    「そうか。なら、もう一つ教えてやろう」

     笑うのが苦手や言うて毎日笑う練習をしてはるけれど、存外月光さんはよぉ笑 1083