地球色日出ずる国。
はるかの昔、歴史の教科書でしか見たことのないこの表現は、その地に住む人にとっては常識だったのだろうと思う。
太陽は東から上って昼に真南に届き、やがては西に沈みゆく。
それが常に必ず毎日起きる、そういう場所での常識だ。
いつかの昔といおうか、ファンタジー感さえある遠い世界の話と言おうか。
それが私達人類の踏みしめてきた確かな過去だというのを疑いたくなるような、そういう未体験の史実だ。
「いいじゃんみんなで行こうってぇ!付き合ってよぉー!」
「しつこねぇお前も」
とんがった鼻先にかかるバイザーを更にくいっと鼻にかけ、私の大親友及びその他たちは、視線の一瞥さえもくれぬまま私をすげなくあしらってくれていた。
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