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    JLqgn8

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    JLqgn8

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    シリーズになる予定です。

    ぽっせの3人が出会うまでの話。
    捏造&一年ほど前から着手しているため()
    原作とは切り離して考えてください。

    フリングポッセという集合体壱.飴村乱数というモノ
    僕を見ると誰もが振り返るのは当然。
    僕はそう造られた。
    何処にいても、何をしていても、誰の目にも止まるように造られたピンク色の髪、水色の眼。
    女子供には愛されるように、可愛らしく、
    男には舐められないように、時折仄暗く、
    誰もが僕という存在を無視できないようにと。
    あの男は言った。
    ──俺の存在は今後世界を揺るがすからと
    何度も何度も繰り返して出来上がった僕に、
    「お前の名前は乱数だ、飴村乱数」
    と言った。
    僕はその名を聞いたとき、どうして苗字だけそんなに可愛いんだよと言った。
    飴だなんて顔に似合わなさすぎだろ。
    乱数、なんて趣味が悪いじゃん。
    「いいんだよ、お前は滅茶苦茶、それでも俺の傑作だ」
    「へえ、そう」
    これは、飴村乱数というモノが人間になっていく話。


    弐.夢野幻太郎という器
     夢野幻太郎という器を背負って幾星霜。
     小生は、いや麻呂は、いや妾は、いやわっちは、………いや、俺は。
     いつまでも蔭に潜んでいるのは誰だ、陽を浴び脚光を浴びているのは誰だ、築40年の古いマンションの手摺にもたれて星一つ見えぬ曇った空を見て時折考える。
    「俺は、誰だ」
     遠い昔は、俺にも名前があった。病室で俺の名を呼ぶ青年の姿をよく覚えている。だけど、俺はもうその声を覚えていない。だから、彼の顔は思い出せても、その口が紡ぐ言葉がわからない。何度も呼んで貰った筈の俺の名を、俺は思い出すことができない。
     ぼろぼろと瓦解してゆく俺の記憶を待つだけの俺、根拠の無い嘘ばかりを積み上げる俺、…嗚呼、夢幻のこの世とはなんとも皮肉だ。
     これは、夢野幻太郎という器が出来上がっていく物語。



    参.有栖川帝統という名
     俺の名は俺のものじゃない。
     昔から蝿のように集まってくる連中は、俺の名字を聞くと魔法にでもかかったみたいに一斉にへらへら笑った。ガキの頃から見慣れた光景でちっとも興味は無い。権力にへつらうしかない世の中は馬鹿ばかりで、こんなもんだと思っていた。
    「帝統、楽しいこと教えてやるよ」
     其奴は、とにかく俺を連れ回した。色々な遊びの殆どは奴から教わった。ぎゅうぎゅうでどんよりした空気の充満する家より余程生きてるって感じがして、俺が俺で在る気がした。
     でもやっぱり、そんな日は長く続かねえんだ。
    「…上等だ」
     家を追い出された事は丁度よかった。彼奴にもらった賽とこの身ひとつ。充分だ。
     これは、彼が有栖川帝統という名である事の証明をする話。
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    JLqgn8

    PASTぽっせアンソロジー「海風に踊らせて」に
    寄稿したものです。カプ要素はありません。

    三人がバラバラになった未来のお話です。
    限りなく透明に近いブルー■飴村乱数
    「すべ、ての、いの、ちは」
    「うみ、から、うま…れる」
    「せい、めいの、ゲンリュウ、とも、いわれ、ます」
    「よう、すいは、うみ、のせいぶん、とおなじ、と、いわれて、おり……」
    「にんげん、は、うみで、うまれ、はぐくまれ、そ、して、また、うみに、かえ、る…」
    自分の口が静かに紡ぐ言葉の、あまりのスローさに溜息しか出ない。
    ──まったく、どうなってんの、ぼくの頭。こんなにバカだったっけ?
    僕は頭を揺らし叩いてみたが、目の前の文字がスムーズに目と頭に入らずに、口に乗せるまでに矢鱈と時間がかかってしまう。
    溜息。
    普段人との会話に困ったことなんてないのに、こうした小難しい文章を読むには脳の処理速度が遅くなるのか、時々錆びついた歯車のように思考が鈍くなる。飴を多量に舐めてみればアドレナリン的なものでも出るのかと思ったのに、そんなこともない。白い飴の棒が僕の横に増えていくだけになった。幻太郎の言葉を借りると、「そんなに飴を食べたら糖尿になりますよ」ってやつくらい?糖尿ってのが僕にはよくわからないけど、幻太郎いわく「飴やら甘いものが食べられなくなりますよ」だって。それが本当に僕にもなるものなのかちょっぴり、ほんのちょっぴり興味はあったりする。だってね、人間の病気だよ?そんなものがこの僕の身体に起こり得るのか、ちょっと気になるよね。でもまあ数十本食べても相変わらず頭の奥は鈍い感じがそのまんまあるし、糖尿がどんな病気か知らないけど、飴を食べてもなんら変わりはないし、まあ、うん。僕にはあまり意味がなさそう。ってことは多分、僕が今この薄暗い部屋でこんな分厚くて小難しい本を読んでいることは、この体にとっては、意味がないのかもしれない。
    15601

    JLqgn8

    DONEシリーズになる予定です。
    ぽっせの3人が出会うまでの過去の其々。
    捏造過多です。1年ほど前から構想しているので
    本編とずれています。

    こにらは夢野幻太郎のお話です。
    直接描写はありませんが、モブ幻があります。
    ご注意ください。
    夢野幻太郎の話 あの頃、学校で独りでいることは然程苦痛ではなくて、寧ろ教室の片隅で呆然と彼の事を考えながら次はどんな嘘で楽しませようかと考えている方がずっと楽だった。たとえば、休み時間にボールのように飛び出していくクラスメイトを見ながら、あいつはどんな風に家を過ごすのかを考える。育ちのいい母親はちょっと世間知らずで箱入り娘、我が子にも呆れられるほどのお嬢様ぶり。父親はそんな母親にベタ惚れで子供はそんな両親を疎ましいと思いつつもいつかは密かに思いを寄せるあの少女と両親のような夫婦になれたらと思っている……。
     そんな風に、僕にとって所謂孤独と呼ばれている時間は、無限にある自由時間に過ぎなかった。ひとつ僕を悩ませるものといえば、高齢である両親のことくらい。彼らは僕が学校で独りでいることをずっと気にかけていたので、僕はふたりに学校生活のことをほとんど話さなかった。掃除用具入れに突っ込まれて鍵をかけられたとか、給食に虫を混ぜられたなどと言ったら、恐らくは卒倒してしまうであろう姿が容易に想像できたものだから、僕はじっと黙っていた。プライドが許さないとかそう言うことではなく、僕はしわくちゃの顔をもっとくちゃくちゃにしてさめざめと泣くだろうあの顔を見たくなかったのだ。だから、僕は笑っていればいいのではないかと思い始めた。それからなんとなく何をされても笑うようにし始めたら、水をかけられた時タオルを貸してくれる女子や、教科書を破かれて途方に暮れていたら隣り合った机の境界線から少しはみ出すようにして教科書を差し出してくれる奴が出始めた。
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