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    JLqgn8

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    JLqgn8

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    あなたの小説話の文体で書かせてくださいタグで、れんちゃんの乱幻を書きました!
    楽しかったありがとう💕

    ※タトゥー彫ってます
    苦手な方は注意

    ぼくのもの「ねえ…幻太郎、どう?痛い?」
     乱数の楽しげな声を背後から聞きながら、幻太郎は息を数回、小さく吐いた。うつ伏せになったまま、少しでも痛みが和らげばと試行錯誤してみるものの、体全体がまるで神経そのものになってしまったかのように、空気に触れることさえも火で焼けつくような刺激になる。鳩尾にぐっと力を入れ、喉元をきゅっと締めて、溢れそうになる涙をなんとか押し留める。
    「でも、痛みに慣れると気持ち良くなったりして?」
     チャッチャッ、という軽やかなリズムに加え、乱数の声が弾んだ。肌を絶え間なく削られ、段々と血の色に染まっていくタオルが視界に入る。鑢で擦られる痛みに、段々と体全体が熱を持ち始めた。部屋は空調が効いていると言うのに、幻太郎の身体はじっとりと汗ばんでゆく。
    「幻太郎、休みたくなったら言ってね」
    「ええ…」
     返事はしたものの、幻太郎は微動だにしない。乱数も動かす手を止める気配はない。ほんの気の迷いだった、今思えば、その気の迷いに乱数と遭遇したのは偶然などではなかった。幻太郎は「見いつけた」とスマートフォン片手に笑った乱数に、背中に銃口を突きつけられたような感覚に陥った。その足で、「お仕置き、何がいい?」と並んで歩いた時の、なんと生きた心地のしなかったことか。
    「ねえ幻太郎、僕の愛が足りなかったの?幻太郎は嘘つきだし、見える形で僕の愛を残さないとだめなのかな」
     そう笑った乱数の目が、じっとりと幻太郎の体全体を舐めるように見た時の冷えたあの時の心持ちは、今熱を持ったこの体でも温めることは出来ないだろう。それほど乱数の目は冷え込んでいた。
    「今度裏切ったらどうなるかよく考えてね」
    「…あなたを裏切ったりなんか…」
     痛みと熱で朦朧とする意識の中、幻太郎は声を振り絞る。乱数は幻太郎の返答に満足したのか、幻太郎の臀部に手をやった。大輪の花が二輪、白い肌の上で舞っている。
    「本当は元々、僕のポッセだってわかるように幻太郎と帝統に僕が彫るつもりで勉強したんだけどね、まさか先に幻太郎にやる羽目になるなんて思わなかったなー」
     幻太郎の位置からは乱数の表情は見えない。だが、乱数が微笑みながら幻太郎の肌に手を置いていることは容易にわかる。細い指先がつつつ、と肌の上を滑り、切先の鋭いものでプツ、と肌を貫く感覚に、幻太郎は息を呑む。
    「ねえ、もし、もしもだよ。次、僕を裏切ったり怒らせたら、帝統と一緒に胸に入れようか。こことは比べものにならないくらい痛いんだって…」
     これ以上ないほど優しく甘く、乱数が幻太郎の耳に口を寄せる。冷え込んだ声と痛みの温度差で、幻太郎の身体がぶるりと震えた。乱数は一体、自分の体に何を彫ったのだろう。乱数の静かな怒りは自分の体に何を埋め込んだのだろう。
    「でももう僕のものだって印をつけたし、おいたはしないかな?この墨、僕の血が入ったトクベツ製だから。今度幻太郎が何かしたら、血が沸騰して爆発しちゃったりして?」
     子供が戯れるような軽快な声で悍ましい事を呟きながら、乱数が幻太郎の臀部をゆっくりと撫でている。幻太郎はそっと目を閉じた。次に目が覚めた時、乱数と目を合わせて笑う事をそっと願った。
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    JLqgn8

    PASTぽっせアンソロジー「海風に踊らせて」に
    寄稿したものです。カプ要素はありません。

    三人がバラバラになった未来のお話です。
    限りなく透明に近いブルー■飴村乱数
    「すべ、ての、いの、ちは」
    「うみ、から、うま…れる」
    「せい、めいの、ゲンリュウ、とも、いわれ、ます」
    「よう、すいは、うみ、のせいぶん、とおなじ、と、いわれて、おり……」
    「にんげん、は、うみで、うまれ、はぐくまれ、そ、して、また、うみに、かえ、る…」
    自分の口が静かに紡ぐ言葉の、あまりのスローさに溜息しか出ない。
    ──まったく、どうなってんの、ぼくの頭。こんなにバカだったっけ?
    僕は頭を揺らし叩いてみたが、目の前の文字がスムーズに目と頭に入らずに、口に乗せるまでに矢鱈と時間がかかってしまう。
    溜息。
    普段人との会話に困ったことなんてないのに、こうした小難しい文章を読むには脳の処理速度が遅くなるのか、時々錆びついた歯車のように思考が鈍くなる。飴を多量に舐めてみればアドレナリン的なものでも出るのかと思ったのに、そんなこともない。白い飴の棒が僕の横に増えていくだけになった。幻太郎の言葉を借りると、「そんなに飴を食べたら糖尿になりますよ」ってやつくらい?糖尿ってのが僕にはよくわからないけど、幻太郎いわく「飴やら甘いものが食べられなくなりますよ」だって。それが本当に僕にもなるものなのかちょっぴり、ほんのちょっぴり興味はあったりする。だってね、人間の病気だよ?そんなものがこの僕の身体に起こり得るのか、ちょっと気になるよね。でもまあ数十本食べても相変わらず頭の奥は鈍い感じがそのまんまあるし、糖尿がどんな病気か知らないけど、飴を食べてもなんら変わりはないし、まあ、うん。僕にはあまり意味がなさそう。ってことは多分、僕が今この薄暗い部屋でこんな分厚くて小難しい本を読んでいることは、この体にとっては、意味がないのかもしれない。
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    JLqgn8

    DONEシリーズになる予定です。
    ぽっせの3人が出会うまでの過去の其々。
    捏造過多です。1年ほど前から構想しているので
    本編とずれています。

    こにらは夢野幻太郎のお話です。
    直接描写はありませんが、モブ幻があります。
    ご注意ください。
    夢野幻太郎の話 あの頃、学校で独りでいることは然程苦痛ではなくて、寧ろ教室の片隅で呆然と彼の事を考えながら次はどんな嘘で楽しませようかと考えている方がずっと楽だった。たとえば、休み時間にボールのように飛び出していくクラスメイトを見ながら、あいつはどんな風に家を過ごすのかを考える。育ちのいい母親はちょっと世間知らずで箱入り娘、我が子にも呆れられるほどのお嬢様ぶり。父親はそんな母親にベタ惚れで子供はそんな両親を疎ましいと思いつつもいつかは密かに思いを寄せるあの少女と両親のような夫婦になれたらと思っている……。
     そんな風に、僕にとって所謂孤独と呼ばれている時間は、無限にある自由時間に過ぎなかった。ひとつ僕を悩ませるものといえば、高齢である両親のことくらい。彼らは僕が学校で独りでいることをずっと気にかけていたので、僕はふたりに学校生活のことをほとんど話さなかった。掃除用具入れに突っ込まれて鍵をかけられたとか、給食に虫を混ぜられたなどと言ったら、恐らくは卒倒してしまうであろう姿が容易に想像できたものだから、僕はじっと黙っていた。プライドが許さないとかそう言うことではなく、僕はしわくちゃの顔をもっとくちゃくちゃにしてさめざめと泣くだろうあの顔を見たくなかったのだ。だから、僕は笑っていればいいのではないかと思い始めた。それからなんとなく何をされても笑うようにし始めたら、水をかけられた時タオルを貸してくれる女子や、教科書を破かれて途方に暮れていたら隣り合った机の境界線から少しはみ出すようにして教科書を差し出してくれる奴が出始めた。
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