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    weedspine

    気ままな落書き集積所。

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    POIPOI 536

    weedspine

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    亜からバへの告白…のあと。望めることこそが幸い。

    君よ、人の望みのよろこびよ「貴公が今言おうとしていることなぞ、すべて
     分かっている。
     そしてどれも何百回と自問自答済だ。
     その上で、言っている」

    亜双義は壁際に追い詰めたバンジークスを逃さぬよう
    その手首を強く握りしめた。
    バンジークスが顔をしかめているのは、手首の痛みの
    せいだけではない。先ほど告げられた言葉の逃げ道を
    ふさがれ、どう答えたものか考えるほどに胸が苦しく
    なっていく。

    「許されない過ちを犯した私に、
     その思いを受け入れる権利はない」

    「安易な贖罪に逃げぬ誠実さは実に好ましいが、
     惚れている身には堪えるな」

    手首をつかむ力を弱めたかわりに、一歩踏み出し
    さらにバンジークスと壁の間を詰める。

    「お互い、あれだけの思いをしてきて、これからも
     決して楽ではない道を歩んでいくのだ。
     これくらいの喜びを望んで何が悪い」

    「……よろこび?」

    「違うか?」

    バンジークスは亜双義をしばらく見つめると、そっと
    頭を振った。

    「いや、そうだな。君は私のさいわいなるよろこびだ」

    「ならば、何を悩むことがある?
     "それ"に誰の許しもいらないだろう」

    射るようだった亜双義の視線が和らぎ、口元がふっと
    ほころんだ。

    「いまや望むも叶えるも、自分次第なのだから」

    もう、この口からこぼれ出そうとしている言葉が、
    己の求めるものと相違ないことを確信している様に
    少し悔しさを感じたが、裏切る気にもなれなかった。

    -完-
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