Melty time今にも崩落を起こしそうなほど詰まれた本に、新聞や手紙の束。
薄暗い中、何かの薬品がこびりついた実験器具が並ぶ室内に、ギィギィと不快で
不気味な音が響いている。
倫敦はベイカーストリートの一角、近頃名が知れてきた探偵の住まう221B。
その話題の探偵は今、ぶすっとふくれた顔で、椅子の背もたれの耐久実験のごとく
負荷をかけては悲鳴をあげさせている。
いくつかの事件を解決したとはいえ、この年若き青年、シャーロック・ホームズは
スコットランドヤードから全幅の信頼を得るには至っていない。
今日も事件現場から追い出され、満足な捜査ができなかった。
彼の比類なき頭脳によって、もう調べるべき箇所の検討はついている。
出るであろう結果も。
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