ライハルでdom/subユニバースを考える(君との信頼、君への愛情)【この話の設定】
・ライト×ハルマです
・subdropの話あり。(現在非公開。)
・ミカドが悪役ポジションとなっています故、あらかじめご了承のほどお願いします。不快な方はブラウザバックを。
以上が大丈夫でしたら、よろしくお願いいたします。
お互いの信頼を
手を繋いだり、触れたり、抱きつかれたり。………何となく、スキンシップが増えたな…と思う。
そりゃあ…パートナーだしそうなるのも当然と言えばそうだけど。ちょっと多いくらいだと思う。
俺達が第二性で感じているというダイナミクス、欲求にしては軽いものだ。だから特に、触れてもらえるだけで大丈夫なところがある。ライトも、パートナーになったばかりの頃とかはそうだったとは思う。
使う必要がなかっただけであって、使わなくてもいいというわけではない。
だから、いずれそうもいかなくなるだろう。パートナーになったからにはなおさら。
ライトはいつも俺の欲しいものをくれるけれど、あいつの優しいところにずっと寄り掛かっていていいんだろうか。
同じように何かを返したい、と思うのは…俺がsubだから?
subの方から何かをするのは正直聞いた事がない。…というよりコマンドを使うことでsubの信頼を確かめる、このプレイそのものがdomに対するお返しのようなものだと言ってもいい。
と、いうことは。俺の方がライトの信頼を得ていないということになるのでは。
それは何だか……寂しい。
ライトはいつも、本当に幸せそうにするものだから、何も言えなくなる。俺も幸せに思うよ。
けれどたまに、心のどこかが苦しくなる。
俺はお前にちゃんと返せているのか。
以前、ライトにイヤーカフを渡してみた事がある。それはどちらかと言えば普段からの感謝の気持ちを形にした物である。それをしてもこの不安は解消はしなかった。
コマンドを使われるのは嫌いだ。そして、使わないのはあいつの方針でもある。コマンドに頼らないあり方はあいつらしいと思う。(そこに惹かれたのかもしれない)
それでもお互い満たされていたから今まで使う必要がなかっただけ。
でも今は?
お互いを知っていくほど、して欲しいことが増えていく。
多分、それはダイナミクスもきっと同じ。
コマンドに対する嫌悪感はもちろんライトにも当てはまる事だけど、こいつには傷つける意志が無いのを俺はもう知っている。だから使われること自体はもう大丈夫だと、そう思ってる。
ライトにコマンドを使われたとして。自分が壊れてしまったら意味がない。
自分が耐えられるかどうか。
……気持ちはちゃんとここにある。大丈夫だ。
というのも、以前俺はsubdropした事がある。
元々はあいつ、白銀ミカドとのバトルに負けてから…ではあるんだが。
その時は限界まで追い込まれこそしたものの、careをされている。(それまで何もなかったのはこいつのcareが正しくされたという事だ。)
直接subdropの原因になったのはライトのglareにあてられたから。でもそれはミカドとの事がフラッシュバックしただけで。
ライトの事が嫌だったとか怖いとか、そう感じたことは一度もない。前に何があったかは、もうライトは知っているけれど、ただ結果的にライトのせいになってしまっていて。
(何だかんだあったものの、ミカドとは以前に比べて良好な関係ではある)
スキンシップが増えているのは恐らくライトのダイナミクスが満たされていないから。それを補うためバランスをとってるだけだ。
―――――――
「俺はお前なら、コマンド使われても構わねぇっしょ」
「ハルマ、それは…」
お前が、俺に命令したがらないのは
コマンドを使うことで
俺が壊れてしまうのを心配しているから。
「俺はお前に無理してほしくない」
「…何でそう思うんだ?」
(たまに、伝わらないのが、もどかしい)
いや、そうじゃないな。
こいつの元々の性格というか。ライトなりの優しさの伝え方というか。
「違うか。そうだな、なら…言い方を変えるっしょ。俺がお前にコマンド使って欲しい、と思ってる」
通常ならそんな心配なんていらない。
そこにお互いの信頼があるからだ。
「ライト、俺はお前と対等でいたいっしょ」
「?…俺とお前は対等だろう?」
「ああそうだな。でもそれは俺の欲しいものじゃねぇっしょ」
「……おれは。お前を傷つけたい訳じゃない」
ああ…お前は本当に。
優しい。
優しくて、臆病だ。
「それは知ってる。俺ならもう大丈夫だから」
心配されるだけじゃなくて
俺はお前からの信頼が欲しい。
「だからもう少しだけ、俺のこと信用しろっしょ…」
「む…信用してないわけじゃないぞ…。でも、不安にさせて…すまない」
「……心配してくれるのは嬉しい。でも、そう簡単に壊れたりもしないっしょ」
相手に支配されるのは本当に嫌だった。けれど。
支配されるだけがsubというわけでもない。ライトとパートナーになって、それがわかったから。domの言葉に応えられるという信頼を。
俺も頑張るから。
「それに…頑張ったら、ご褒美くれるっしょ?」
「…………それは、ずるいぞ…」
「お?くれねーの?」
「っそんなこと、ない…!だが今日は勘弁して欲しい…です」
こいつらしからぬ敬語がとんできて可笑しくなった。
いつも俺が先にspaceに落ちてしまうので、今回は少しだけ優位に立てて楽しい。
「今日はコマンドは使わないが…ハルマ、こっち」
「?…わ…っ」
ライトに手を引かれるまま一緒にベッドに倒れ込む。
「話してくれてありがとう。でも何も返せていないなんて言わないでほしい。形がなくてもお前から貰ったものなら沢山ある。ちゃんと受け取っているから。そんな不安そうにしないでくれ」
「…ん。…そう。というか、お前…」
「ん?」
コマンド使う使わないに限らずこの状況に持っていくこいつが、本当に……天然というか何と言うか。
「いや……その、ベッドに連れ込むとか、どうなんだ」
「どう…とは」
「……いや、何でもねぇ」
「…すまん、嫌だったのか?」
「そうじゃないだろ………」
コマンドなし、とは言ったものの…これはこれでそういう雰囲気にならないのはこいつのせいだと思う。
不服だ、という顔を隠さずに睨みつけてみる。
「?」
「…!」
わかってないわりに自然な動作で頭に触れてくるものだから、本当にそういうとこ……。
「やっぱりお前ムカつくっしょ…」
「え"…!?」
「嫌いじゃねぇけどな」
「えっ」
コマンド使用します!…の話
→
「俺は…お前だったらコマンド使われても構わねぇっしょ」
「えっ……そ、そうなのか…?」
「ん」
・・・
「なら、そうだな…まず、セーフワードを決めておこう」
《多分ステイ、とかその辺を想定してます。あんまりネタにも走りたくないので(笑)》
―――――――
「よしじゃあ…宜しく頼む」
「…お、う」
「…come」
「ん」
こいつに触れられるとすぐに身を委ねてしまう。ふわふわした感覚。
「………ってちょっと待て、これじゃいつもと同じっしょ」
「…そうだったか?…うむ、なら……」
「………strip」
(?!)
え、きゅ…急にそういうコマンドするか??……いや…まあ、いいけど…。
見られているのはさすがに緊張するが。
えっと……、
まず上着を脱いで…
それでネクタイ解いて…
それから、
「す…stop!」
ピタッっと体が動きを止める。
「えっっ……なっんで止めるっしょ…」
「や…やっぱりそれは俺がやりたいというか……」
「…はっ?」
この期に及んで何を言うのか…。というかコマンドの意味がないだろ!
「お、お前はお前で何言ってるっしょ! 」
(しかも!つまりそれはその…見ているのではなく。脱がせたい、……っていう事では。)
またとんでもねぇ恥ずかしいことを言う奴だ。
そんないたたまれなさそうな顔されても……恥ずかしいのはこっちなのに!
まあ…あえて命令という形を取ろうと思わないところがこいつらしい…というとこなんだが。
…そういえば、何だか段々と胸に広がるもやっとした気持ちは何だろう。コマンドを中断されたからか?
「つか、コマンド中断されんのはちょっと…。よくわかんねぇけど何か………不安になる?から、何か言えっしょ」
「!すまない…。止めて悪かった。こっち…sit」
「ん」
ライトに導かれるままベッドに座る。
「髪、解いていいか?」
「はいよ」
何か、いつも自分でやっていることなのに凄く緊張する。
解きやすいように少し頭を下げるとライトの指が髪に通る。髪をくくったゴムを外されて、ぱさりと髪が下りる。
「な…何だかいつも縛っているから…」
「そんな変わらねぇっしょ」
「全然違うぞ…ハルマ、」
「…、」
「…roll」
「ハルマ、キス…していいか?」
「…」
「ありがと」
キスするのも確かコマンドはあったような。
お伺いなんていらないんだよ。
……そういえば
ライトとそういう関係になってから
きす、したことあったか……な?
……はじめて、かも。
「んっ……っ……は…っ」
「はぁ……大丈夫か?…っ!」
――――――
ハルマとはじめてキスをした。
何だかプレイという名目でしたみたいになってしまったが。(普段からしていいものなんだろうか)
…いつもハルマが早めにspaceに入ってしまうからかもしれない。
ハルマはsubspaceに入りやすい体質のようだ。(それはそれで心配でもある) spaceに入ってくれるのはsubからの最大限の信頼、といってもいいのでこれ以上に嬉しいことはない。
それにハルマ自身もその、結構好きにさせてくれる(恋人らしいこととか(でもキスしたことは無かったな))し、何かしようとしてくれるのが嬉しい。
なので、さすがにイヤーカフをもらったときは凄く嬉しかった。
いつものspaceと違うようだがとても心地良さそうにしている。
頭を撫でてやると、もっとしてと言う押し付けてくる。逃がすまいと手を握ると満足そうに目を閉じてしまった。…かわいい。
ハルマとのこうしている時間の、ふと彼が表情を暗くすることがあった。ほんのいっときだけ。次の瞬間にはいつもの表情に戻っていた。
ハルマは何かと抱え込んでしまうタイプだと思う。俺も自分なりに気づいた時は彼に働きかけるのだが…。
ハルマのダイナミクスが乱れいるわけではなかった。
ずっと、悩んでいたんだろうか。
気づけずに見逃してしまうのが怖い。
ふと、ハルマの首についているネックレスが目に入る。以前は金色の丸いチャームのついたものをしていた。今は俺がcollarとして渡した、ネックレスが付いている。
渡した時は緊張したし、なにより付けて欲しいと言われたものだから色んな意味でドキドキした。(普段彼の項なんて見たことはなかったし…。安易にそんなことしないでくれ…とは思うが。)
信用されている、と考えるなら喜ばしい事なのかもしれない。
俺から付けさせて欲しいと言ったほうがよかったのかもしれない。
ネックレスを渡したのには一応ちゃんとした理由はある。
クレイムの際は首輪やチョーカーを渡す事が多い。所謂domの所有の証というか、そういった意味合いが強いようだ。もちろん、俺にもそういった欲求がないと言えば嘘になる。が、俺はハルマを大事にしたいし、そういう風に見たい訳ではない。ハルマもそれは望まない気がしたからだ。
ちなみに、ネックレスを渡す意味だが、同性から渡すのは親愛の証なのだそうだ。
所有ではなく、対等の証を。パートナーであると同時に恋人でもあるように、俺がお前を信用するように、お前の信用に応えたい。
ただ今は彼が旅立ってしまった幸福の世界が崩れてしまわないよう見守っている。
待っている時間も愛おしい。そんなに長くはないけれど、でもやっぱりほんの少し寂しいから。
早く、戻ってこないかな。