授業終了のチャイムが鳴り響く。
ぼくはずっと窓の外を眺めていた。
心にぽっかりと空いた穴。
大切な何かを忘れている気がする。思い出さなくてはいけない、誰か。
思い出したいのに思い出そうとすればするほど、眩い光に照らされて何も見えない。
──早く"彼"を見つけないと。
本能が伝えてくる。
"彼"って誰?
──
問いかけても返答はない。
──早く、早く"彼"を見つけないと。
見つけないとどうなる?
──他の人に取られてしまう。
だから、他の人に取られる前に早く"彼"を見つけないと。
このペンダントをくれた、あの人を。
『記憶喪失獣人くん×ご主人様』
2023/07/12