5月賢マナで出す話(途中) ──本当に?
──ええ、本当に。
◆
爽やかな風の香りに誘われ、晶は目を開ける。
「わ、すごい……!」
視界いっぱいに広がる草原に果てはなく、世界を空の青さと鮮やかに二分していた。晶は「ここはどこ?」と疑問を抱くよりも先に、その光景に心奪われる。
(これだけ広いと、魔法舎の皆でピクニックが出来そうだなあ)
そんな楽しい想像をしながら歩いていた晶だったが、青と緑だけの視界に突如ぽつんと現れた白に気付いて足を止めた。
(何だろう、動いて……というか、こっちに来てる?)
そう思っている間にも、豆粒ほどだった白はサッカーボールくらいの丸になり、次に晶が目を瞬いた時には、そのもこもこふわふわとした形がはっきり分かる程度になっていた。
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