お盆「ブラッドさま、これは何でしょうか?」
リトルトーキョーにある商店の店先にある置物を指してオスカーは言う。
パトロールの後にブラッドはオスカーを食事に行き、帰りに2人で歩いてタワーへ戻る途中の出来事だった。
「これは精霊馬というものだ。日本のこの時期に家に飾る風習がある」
「変わった形ですが何か意味があるものでしょうか?」
不思議そうな面持ちだ。ブラッドも実物を目にするのは初めてである。
「あちらの夏のある期間では先祖の霊がこの置物を先祖が乗るのりものにたとえて飾っているそうだ。お前が見ている胡瓜に支えがあるものは早馬に見立てているものだな。あの世からこの世へなるべく早く家に帰ってこれるように。こちらの茄子は出来るだけ現世に長く滞在できるようゆっくり帰り歩む牛のように、其々願いを込めて飾られるものだ」
735