「Trick or Treat!」
両手を上げてそれらしいポーズをとる私に、悪戯かお菓子の究極の選択を迫られている等の本人はボケッとした様子でソファからこちらを振り返っている。なんて面白味のない反応だ。だが予想通りではあるので大変愛おしくも思う。つまるところ月島なら何をしたって好ましいのだ。この天然タラシめ。
脳内でそうやって訳の分からないイチャモンをつけて恋人に訳の分からない責任転嫁していた私の姿を、振り向いたままの格好で上から下までじっくりと眺めた月島はようやく口を開く。
「………それ、吸血鬼の仮装ですか?」
「そうじゃ!我ながら似合っていると思うがどうが?」
「そうですねぇ、素材が安っぽい以外は概ねよいかと思いますけど…あ、でも鯉登さん肌色黒だからな。肌の色を青白いくらいにしていたなら、かなりの再現度でしたね」
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