これを愛と呼ぶのなら 気づけば、俺の周りには人が居なかった
いつだって1人の空間に俺は立っている。
でも悲しくは無い。寂しいなんて言葉は口にしてはいけない。俺は武器なのだから。
――
「天空橋くん?」
不安気に揺れる瞳が俺を捉えていた。
「だ、大丈夫?どこか痛い?」
怪我をしたってすぐに治せるのに、優しいその人は俺の身体を誰よりも大切にしてくれる。
返事を待っている間もその目を逸らさずに俺の言葉を待ってくれる。いつの間にかその時間が心地よくなっていた。
「いいえ、どこも痛くありません。」
ちょっと冷たかっただろうか。しかし目の前にいる、同じ特別機動隊3課に所属する郡司晃さんはその言葉にほっと息をついた。
他人の痛みを気にするなんて、この人はどこまでお人好しなのだろうか。
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