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    黄月ナイチ

    @71_jky

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    黄月ナイチ

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    BASARA4の感想らしい家毛

    やあ、お前か。いつか見たような笑顔で男が振り向く。毛利は息を溜めて、小さく顎を引いた。
    夢の中は曇天であった。夜ではないにしろぐらりとよどんだ薄暗さの中にあって、穏やかな眼差しは正確にこちらを捉えている。
    その目にいつにない嫌悪感に近い畏れのようなものを誘われて、もちろん毛利はそれを否定した。己がおそれるべきはこれではないのだ。
    「……何時にも増して、酷い顔をしている」
    なので、溜めていた息と一緒くたに感想を吐き出した。見慣れた光景の中に佇む男は苦笑いをして腕を組み直した。
    「そうか? ワシとしては悪くはないと思っているんだが」
    その言葉にはおそらく、偽りはない。そうなのだろう、と元就は唇を釣り上げた。酷い顔だ。
    「欲に塗れた顔ぞ」
    神の格を捨てて人であることを望んだ男を、毛利は感慨なく見据える。若者そのものの眉がまいったなあというように下がるので、我の知ったことではないが、と付け加えた。
    「共に生きる、とは、難儀よな」
    この空は永久の金環食である。他ならぬこの男がそれを選んだがために。
    「そうか? いや、そうだな。だが、それが、ワシはとても嬉しい。」
    「……」
    毛利は目を眇めて、それから逸らした。
    「貴様が人に成り下がるならば好都合というものよ」
    海が近いのだろう、波の音を聞いた。まぶたの裏に船が見える。異海の空に映えて、風を切って進む船。あれは形見か、片身か。
    最早毛利は真に、ただ一人になることを恐れない。
    「ハハッ。そうかもしれないな?」
    見れば天上にて、日の輪は月に喰われたまま、輪郭を白々と光らせている。
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