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友軍部隊のキャンプはオオヅチ小隊の兵たちは驚きをもって迎え入れました。そのくらい、彼らの生存は絶望的であったのです。
「少尉どのは?」
「一緒ではないのか?」
口々に尋ねられて、皆すぐには答えられませんでした。はっとしてきょろきょろと顔を見合わせても、オオヅチ少尉のぼろぼろになった軍服に身を包んでいた異形の兵士はいつの間にか姿を消していたのです。
「隊長!?」
「隊長は!?」
オオヅチ小隊の兵士たちは慌てて建物を飛び出して、見上げた空の上に小さな人影を見つけました。いいえ、それはもはや人の形をしてはいませんでした。しかし、彼は大きく手を振る部下たちに応えるように一度だけ、おおきく、ゆっくりと、回旋をして、飛び去っていきました。
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