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    yuzenchiyo5

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    yuzenchiyo5

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    ふろでゅ
    ぴっしぶからそのまま持ってきた仲良しやつ

    ##フロデュ

    オクタヴィネル寮内、モストロ・ラウンジ。
    学生が経営しているとは思えないほど上品な雰囲気が漂う店内の隅で、給仕を担当している寮生から簡単な現状報告を受けているジェイド・リーチの元へと、別の寮生が慌てた様子で駆け寄った。

    「ジェイドさん、すみません!急ぎ対処してほしいのですが」

    息を切らしながら話す寮生を一瞥し、大体の状況を察する。この寮生は先程、シフトなのに出てこないフロイドの様子を見に行くと言っていた。大方、フロイドは気分が乗らないからと寮の自室でごねているのだろう。店内はそれなりに混雑しているが、今出ている人員だけで事足りているので問題はない。さっさと別の仕事を振ってあげるとしましょうか、と店内の状況を確認しながら軽く聞き流していたら、途中で出てきた単語に少々表情を固くする。

    「それで、デュースが『力尽くでも出てもらう』って言って部屋に向かってしまいました・・・・・・」

    デュース・スペード。フロイドの”お気に入り”である彼も、今日は同じシフトであった。機嫌のあまりよくないフロイドとそれを”力尽く”で連れてこようとするデュース。なるほどたしかに、急ぎ対処しないといけないようだ。やれやれと小さくため息をつきながら、フロイドの居る部屋へと向かう。


    「先輩!わがまま言わないでください!もうとっくに時間過ぎてるんですよ!!」
    「ヤダっつってんじゃん!サバちゃんのくそまじめ~!ノーコン~!」
    「なっ!?の、ノーコンは今関係ないでしょう!!」

    騒がしい声が廊下にまで聞こえてくる。部屋の中を覗くと、案の定、予想していた通りの状況だった。
    ベッドにしがみつき動こうとしないフロイドを、デュースが文字通り”力尽く”で引っ剥がそうと奮闘している。相当な力でしがみつかれているためか、ベッドからはギシギシとかわいそうな程の悲鳴があがっていた。
    普通の人間とは元々のスペックが異なる人魚のフロイドは分かるが、その普通の人間であり体格も自分達より劣っているように見えるデュースから、どうすればあのフロイドを今にも引っ剥がしそうな力が出せるのだろうか。そういえば以前、オンボロ寮の監督生さんが火事場の馬鹿力がどうのと言っていたような。
    このまま眺めているのも楽しそうだが、部屋を壊されるのは流石に困るので、ひとまず部屋に入り、声をかける。

    「フロイド。デュースさん。ベッドが壊れてしまいますよ。」
    「あっ、リーチ先輩!お疲れ様です!」

    デュースはこちらに気付くと、フロイドを掴んでいた手を離して姿勢を正しお辞儀する。そのすきにフロイドはベッドの奥へと距離をとってしまった。

    「聞いてよジェイド~、酷いんだよサバちゃん。やる気でないからちゅーして~って言ってんのにしてくんねーの」
    「だから、仕事が終わった後ならいいって言ってるじゃないですか!」
    「今してくんなきゃやだ」

    このままではまた喧嘩が始まってしまいそうだ。フロイドの方へと向き直ろうとしたデュースをひきとめ、まぁまぁと宥める。

    「いいではありませんか、キスの一回や二回や十回。それとも何か理由でも?」

    いつものにこやかな笑顔で尋ねると、デュースはずっとつり上がったままだった眉を下げ、言い出しづらいのか、しばらく視線を右往左往させてはチラチラとこちらを見ていたが、微動だにしない満面の笑みから滲み出る”圧”に観念したようで、ゆっくりと口を開いた。

    「えっと・・・・・・先輩ってすごく・・・・・・うまくて。なので、されると気持ちよすぎて暫く動けなくなるんで・・・・・・だから今は、できない、です。」

    口元に手を添えて、悩ましげな顔を赤らめながら言う姿はなかなかに扇情的だ。これで全てわざとではないのだから”相当”である。いつかどこかで真似してみるのも一興かもしれませんねなどと考えながら、デュースの背後に声をかける。

    「だそうですよ、フロイド」
    「あれ、先輩どこに・・・・・・おわっ!?」
    「あはっ、サバちゃんすきだらけ~」

    一瞬で足元に来ていたフロイドに膝の裏を小突かれ、デュースは体勢を崩される。いわゆる”膝カックン”だ。完全に不意をつかれたため、勢いよく後ろに倒れそうになるが、その上半身をフロイドが片手で受け止める。そして、まだデュースが状況を理解できず混乱しているのをいいことに、もう片方の手で後頭部を包むと、無防備に開いたままになっている唇に喰らいついた。

    「んんっ!?ん”ーーーっ!!」

    必死にフロイドの肩を押したり胸を叩いたりして逃げようとしているが、こうなってしまえばもうデュースに勝ち目はない。

    「んっ・・・・・・ぁ・・・・・・せん、ぱい・・・・・・っ」

    何度も何度も角度を変えながら貪るように口付けられ、長い舌でその形をじっくりと確かめるように舐め回されれば、すぐに漏れ出る吐息は甘いものになっていく。

    部屋を壊される心配はなくなったので、部屋を後にしようとするが、一つ伝え忘れていた事があったのを思い出す。

    「あぁそうでした。シフトについてはご心配なさらず。既に調整済みですので。」

    完全に腰が砕けてしまったのか崩れ落ちそうになったデュースを抱え、ベッドへと運んでいくフロイドの背を見ながら、ゆっくりと扉を閉めた。












    「・・・・・・はっ!」

    慌てて飛び起きた。瞬間、身体を真っ二つにされたのかと思うほどの痛みが襲いかかってくる。

    「ッ、いっ・・・・・・!?!?」

    歯を食いしばりなんとか情けない悲鳴をあげることは阻止した。痛みの中心である腰をさすりながら、デュースは今の自身の状態を確認する。
    今自分が居るのは恋人であるフロイド・リーチ先輩の部屋のベッドの上。部屋には自分以外に誰もおらず、静かだ。服は毎度のことながら先輩に乱雑に全て剥ぎ取られてしまったため、身を隠せるものがベッドのシーツぐらいしかない。後処理はしてくれたようで、身体は綺麗になっていた。痕は沢山残っているけれど。

    今の状態をある程度確認し終わった所で、そもそもどうしてこんな状況になったのかを思い出す。
    たしか、フロイド先輩の機嫌が悪くて他の先輩が困ってたから、話をつけに行こうとして、喧嘩になりそうなとこにジェイド・リーチ先輩がきて、急に先輩の機嫌がよくなったと思ったらいつの間にかベッドに運ばれてて・・・・・・。いや、もともとなんで僕は今日オクタヴィネル寮に来ているんだったか。そうだ、今日はシフトが入ってたから部活を終えた後すぐにラウンジに向かって・・・・・・シフト?
    恐る恐る時計を確認する。案の定、とっくに自分のシフト時間も閉店時間も過ぎていた。慌てて床に散乱していた自身の服を拾い集めて着替えるが、部屋の扉に手をかけたところで、今から行ってもラウンジには誰も居ないだろうと気付く。同じシフトの先輩方には謝っておきたかったが、今から訪ねても迷惑だろう。後日謝りに行くことをしっかり心の中のスケジュールに書き加え、ひとまずここの”カシラ”に詫びを入れておくべきだよな、と恐らく腰の痛みのために重くなってしまった足取りで部屋を出た。

    軽く深呼吸をしてから、VIPルームの扉をノックする。入室を促す声を確認してから扉を開けた。この部屋に来る度、元々の高級感もあるのと、エースや監督生達と一緒に侵入した時の事を思い出すのもあって、少し緊張する。

    「失礼します」
    「おや、デュースさん。こんな時間にどうされました?」

    部屋の奥から、アーシェングロット先輩は目線だけこちらに向け、書類を整理している。相変わらず忙しそうだから、手短に済ませたほうがよさそうだ。

    「今日のシフト、サボってしまってすんませんした!」
    「あぁ、それでしたら、フロイドが貴方の分どころか三人分は働いてくれましたので、お気になさらず」
    「えっ・・・・・・」

    どんな罰も甘んじて受け入れようと覚悟していたため、予想外の返答につい呆気にとられてしまう。何の制裁も無し?この対価や”けじめ”を重視するオクタヴィネル寮で?
    そういえば、ジェイド先輩も「シフトについては気にするな」と言っていた気がする。もしかして、最初からこうなるって先輩は分かっていたのだろうか。
    先輩の手際の良さに感心すると共に、ラウンジの手伝いとしてははなから戦力外通告されたように感じて、自分が情けなくなってきた。
    フロイド先輩はたしかに気まぐれだが、気分さえ向けばそれこそ誰よりも働くし、何だってこなせる。それに比べて、僕はまだまだ半人前だ。何度注文を取り間違えたか分からないし、食器もかなりの数を割ってしまった。思い出したら更に気分が沈んできた。今日はもう早く帰って寝よう。アーシェングロット先輩にあらためて謝罪して、部屋を後にしようとする。

    「デュースさん、ちょっと」
    「ひゃいっ!?」

    扉を開こうとしたところで急に声をかけられ、変な声が出てしまった。慌てて返事をしなおして、先輩の方へと向き直る。
    先輩は相変わらず書類を見ながら、無言で自身の項を指先で軽く叩いてから、またペンを持ち直した。意味がよく分からなかったので声をかけようとしたら、こちらに向かって軽くペンを振り、僕の目の前に何かを召喚した。落下するそれを慌ててキャッチすると、小さな手鏡だった。先輩を見ると、先程と同じ様にまた項を指差している。えっと・・・・・・これを使って「見ろ」って事だろうか。
    ・・・・・・・・・・・・あっ。

    結局、絆創膏までもらってしまった。気分が沈みきっているからか、痛みでただでさえ重い身体が更に重く感じる。急いで寮に帰らないとと歩みを進めるが、もうとっくにハーツラビュル寮の門限も過ぎてしまっているので、ローズハート寮長にはまたこっぴどく叱られてしまうだろう。どうせ変わらないのなら急いでも仕方ないのではないかという優等生らしからぬ思考が脳裏を過るが、少しでも早く帰るに越したことはないのだからと自分に活を入れなおした。

    急いでいる、筈だったのだが。ラウンジにまだ明かりが灯っている事に気付き、つい足を運んでしまった。入り口から見渡す限りは誰も居ない。裏に居るのか、それとも消し忘れだろうか。人がいるならいいが、消し忘れならば消していったほうがいいだろう。まずはキッチンを確認しようと向かったら、丁度フロイド先輩が出てくるところだった。

    「あれ~サバちゃんじゃん。もう起きてたの~?」

    こちらに気付くやいなや、上機嫌で近付いてくる。今作ったのだろうか、片手に持ったグラスには飲み物が注がれていた。

    「リーチ先輩。まだ仕事してたんですか?」
    「もうとっくに全部終わったよ~、はいコレ」

    そう言って目の前にずいと差し出されたグラスを受け取る。遠目に見てもキラキラとしていて綺麗だったが、近くで見るとまるで宝石をそのまま入れているかのように輝いて見えた。底の方はサファイアのような深い青色で、それがグラスの上の方に向かうにつれてエメラルドを思わせる鮮やかな緑色へと見事なグラデーションを描いている。先輩の方を見ると、ニコニコと嬉しそうに僕とドリンクを交互に見ていた。

    「喉渇いてるでしょ、あげる」
    「えっ、あ、ありがとうございます」

    グラスを落として割ってはいけないし、店の真ん中で立ったまま飲むのも気が引けて、ひとまず近くのカウンター席に座る。すると先輩も隣に座ってきた。相変わらず楽しそうにこちらを見ている。すっかり機嫌は良くなったようで、そこは安心した。
    いただきますをしてから、慎重に口をつける。爽やかな柑橘系の香りが口の中に広がり、疲れていた身体が少しだけ軽くなったような気がした。
    先輩の部屋を出る前に軽く湿らせる程度には水を飲んできたが、VIPルームで緊張したせいか既にまたカラカラだったので、美味しいと思った次の瞬間には一気に飲み干してしまっていた。

    「あはっ、サバちゃんいい飲みっぷり~」
    「ごちそうさまです先輩!すごい美味しかったです!」

    笑顔の先輩にこちらも満面の笑みを返す。といっても多分また”困ったような顔”になってしまっているのだろうが。これが今の僕の精一杯だ。
    グラスを片付けていたら、シフトの事を思い出した。先輩も同じシフトだったからサボった事を謝らないと。けどそもそもの発端は先輩なのだから怒るべきか?あれ、でも結局僕はシフトを外されていたんだったか?よく分からなくなってきた。とにかくその時間何も出来なかったことは事実なのだから、まずは謝るべきだよな。

    「あの、リーチ先輩。今日はシフト出られなくてすみませんでした」
    「・・・・・・」

    まだカウンター席に座っていた先輩に向かって深々と腰を折り謝罪する。返事はない。チラリと表情を確認すると、さっきまでニコニコしていたのが嘘のように無表情だった。やっぱり怒っているのだろうか。そうだよな。自分が人の何倍も働いている間にぐーすか寝ていたのだから。

    「ほんとすんませんした!この埋め合わせは必ずしますんで・・・・・・」
    「・・・・・・」

    そっぽを向かれた。

    「えっと、マジでなんでもしますので!その・・・・・・」
    「・・・・・・」

    嫌われてしまっただろうか。

    「・・・・・・リーチ先輩」
    「やだ」
    「えっ?」

    ”やだ”?何に対しての”やだ”なのかを考える。埋め合わせをすることが?謝られることが?それとも、僕を嫌いにならないことが、だろうか。

    「タニンギョーギなサバちゃんやだ。せっかく誰もいねぇのになんでそんなつまんねーことすんの」

    あ、と気付く。なんだ。そんな簡単な事か。

    「フロイド先輩」

    思わず笑みが溢れる。先輩の部屋の中でしかしていなかったから、すっかり忘れていた。ゆっくりと先輩がこちらを向いてくれたので、もう一度名前を呼ぼうとしたら、急に腰を引き寄せられ、バランスを崩してしまう。そのままひょいと持ち上げられて、先輩に向き合う形で脚の上に乗せられてしまった。ち、近い。

    「ちょっ、フロイド先輩!?」
    「えへへ~、サバちゃんすきだらけ~♪」

    慌てて離れようとするが両手でガッチリと腰をホールドされてしまい、ビクともしない。というかそこ今あんたのせいで滅茶苦茶痛いんだからやめてくれ。下手に抵抗すると余計に痛くなりそうなので、一旦諦めることにした。

    「俺今日すげ~頑張ったんだよ~、いっぱい料理作ったし~、注文もい~っぱい取ったし~、なんかムカつく奴居たから絞めといた」
    「ふふっ、すごいですね、先輩」

    無邪気な顔で今日の事を話している先輩の顔は、まるで幼い子供のようで、見ているとこちらも自然と笑顔になった。・・・・・・最後のは聞かなかったことにしておこう。
    自慢話のように仕事の話をする先輩を何度かすごいですね、えらいですね、と褒めていたら、急に勢いよく抱きしめられた。

    「うわっ!?」
    「サバちゃん、だいすき」

    いきなり抱きしめられてそう言われると恥ずかしかったが、その声がとても柔らかくて、もっと聞きたいと思った。背中に手を回し、抱き返す。先輩のあまり高くない体温が、火照った身体にはひんやりとして気持ちよかった。

    「僕も、大好きですよ、フロイド先輩」

    囁くような声で告げる。先輩の耳には届いただろうか。僅かに聞こえてくる心音が少しだけ早くなったように思いながら、瞼を閉じ、心地よさに見を委ねた。
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    yuzenchiyo5

    DONEまれでゅ
    転寮と書いて誘拐と読む話
    マレ様がちょっと拗らせすぎちゃってる気がする


    最初エスのターンだけで愉快な長さになってしまったので削りまくりました
    「なんで誰も起こしてくれねーんだよ!」
    「そんな物好きいないっつーの」

    エースはいつもの数倍慌ただしく朝の身支度を整えながら、とっくに支度を整え寮を後にしようとしていたルームメイトに文句をぶつけた。
    自分で設定したアラームを自分で無視して寝続けたのだから、まぁ自業自得ではある。

    「ちぇっ、いつもだったら・・・」

    空いているベッドに腰かけて靴を履きながら無意識に呟くが、その手がピタリと止まる。
    いつも寝過ごしかけた時は、誰かが起こしにきていたような気がするのだが。

    「うおっ、やべぇ!」

    今はそんな事を考えている場合ではなかった。鞄に荷物を乱雑に突っ込んで、頭の中に引っかかった疑問を振り払うように、エースは全速力で寮の廊下を駆け抜けた。





    どうにか遅刻は免れる事ができた。が、朝食は食べ損ねてしまい、空腹のせいで午前中の授業は殆ど集中できなかった(ちなみに監督生には”いつもと同じじゃない?”と言われた。納得いかねー)。

    「はぁー・・・腹減った・・・・・・」

    そんなこんなで待ちに待った昼休みだ。いつものことながら混雑している食堂で適当な顔見知りに声をかけ席を確保してもらい 8215

    yuzenchiyo5

    DONEふろでゅ
    ぴっしぶからそのまま持ってきた仲良しやつ
    オクタヴィネル寮内、モストロ・ラウンジ。
    学生が経営しているとは思えないほど上品な雰囲気が漂う店内の隅で、給仕を担当している寮生から簡単な現状報告を受けているジェイド・リーチの元へと、別の寮生が慌てた様子で駆け寄った。

    「ジェイドさん、すみません!急ぎ対処してほしいのですが」

    息を切らしながら話す寮生を一瞥し、大体の状況を察する。この寮生は先程、シフトなのに出てこないフロイドの様子を見に行くと言っていた。大方、フロイドは気分が乗らないからと寮の自室でごねているのだろう。店内はそれなりに混雑しているが、今出ている人員だけで事足りているので問題はない。さっさと別の仕事を振ってあげるとしましょうか、と店内の状況を確認しながら軽く聞き流していたら、途中で出てきた単語に少々表情を固くする。

    「それで、デュースが『力尽くでも出てもらう』って言って部屋に向かってしまいました・・・・・・」

    デュース・スペード。フロイドの”お気に入り”である彼も、今日は同じシフトであった。機嫌のあまりよくないフロイドとそれを”力尽く”で連れてこようとするデュース。なるほどたしかに、急ぎ対処しないといけないようだ 6311

    yuzenchiyo5

    DONEエスデュ
    卒業後同棲してるやつ


    エは多分ひm
    音をなるべく立てないよう、慎重に歩みを進める。御近所さんとのトラブルも避けたいが、何より、同居人を起こしてしまわないように。
    けれど、ようやく辿り着いた部屋の扉を開いたら、まだ明かりがついていた。

    「おかえり。今日はまた一段と遅かったじゃん」
    「ただいま。・・・・・・寝ててもいいんだぞ?」
    「昼寝したから眠くないんだよねー」
    「そうか。ならいいが、いやあんまりよくない気もするが」

    リビングのソファで寛いでいたエースはおもむろに立ち上がって、キッチンに向かった。
    先程まで見ていたのだろうスマホは無造作に机に置かれ、ロック画面に表示されている時刻はとっくに日付が変わっている事を示している。

    順調に出世するにつれて帰りが遅くなっていくデュースを、エースは毎日必ず寝ずに出迎え、朝も必ず同じ時間に起きて見送っていた。
    初めの頃こそ夜更かしはよくないとデュースは咎めたが、そのうち、それを少し嬉しく感じている事に気付いてからは、あまり煩く言わなくなった。

    「夕食は?何か食った?」
    「いや、何も。でももう夜中だし軽いものがいいな・・・・・・オムライスとか」
    「いやがっつり食う気満々じゃねーか! 2008