ママさんなたけみっち~佐野万次郎編~俺を暗い底から引っ張っり出してくれたのはあなただった。
しとしとと、まるで男の心情を表すかのように雨が降る。とある商店街、男は店のシャッターによっかかり俯いて座っていた。男は、雨が降っていようとも自分が雨で濡れようともその場から動こうとはしなかった。
「お兄さん、そんなところにいたらな風邪ひくよ...」
ふいに声をかけられ、顔を上げるとそこには傘を差し出す女がいた。
これが女基スナックのママである花垣武道と出会ったときである。
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「ほら、服脱いで!お風呂はいって!」
知らない女に連れられてやってきたのは商店街から少し離れ、暗い路地に入ったところにあるスナック店"花垣"。
一見、路地の入口にある看板を見ない限り通り過ぎてしまいそうな立地だが、店に入ればどこか安心するような空間が繰り広げられていた。
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