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    さらさ

    思い付いたのを適当に。

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    さらさ

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    実は出発点はちっこくなったロイドだったという。どうしてそうなった。
    エリュシオンの遺物として残っていたロイドそっくりのホムンクルス(というか多分まんま複製で幼くした)を某場所で見つけたロイドがひょんな事から体を明け渡されて子供からまたやり直す話。
    ランロイにしたいけど余りに特殊すぎてどうしてみようもないけどとりあえず冒頭だけ。タイトル未定

    「まだ、だ……!」

     ロイドの体力も意識も、限界に近かった。そんな時だった、何処からか声がする。強い光がロイドを包む。

    「どうか僕の体を使ってくれ。僕がこのまま自我をもつより君が僕の体を使った方が世界の為だろう」

    そんな声が聞こえた。何の事だろう、そういえば自分は何を見て――?薄れる意識の中で先程までの事を思い返す。事の始まりはある一つの支援要請だった。

     クロスベル再独立から一段落して通常業務へと戻って三ヶ月経った頃だった。エリュシオンの遺物が残っていないか調査して欲しいという匿名の支援要請が入ったのは。誰のものかはおおよそ予想がついたし、今後影響がないとも限らない。調査範囲が広いことから手分けする事となったのだが、ロイドは一人で太陽の砦の捜査に当たったのである。諸々曰く付きである事から後でツァイトも合流する手筈になっていたのだが、予想外の事が起こった。

    「なんだ、あれは……」

    揺り篭と呼ばれた装置が起動しており、そこには誰かが眠っている。栗毛の幼い少年だ、ロイドはそれを見て愕然とする。あまりにもそれが、自分とそっくりだった。恐らくはホムンクルスだろう事は過去の経験や知識から推測ができる。だが、とロイドはそれを見上げる。これを作った錬金術師――クロイス家が新たにホムンクルスを生み出す理由がないのだ。それは帝国でこの技術を盗み出して流用した《黒の工房》にも言える事であるし、第一率先して行っていた《黒》のアルベリヒなる男ももういない。だからこそ言える可能性が一つだけある。これがエリュシオンの遺物であると。だがこの子供をどうするべきか、ロイドは考え始める。そんな時だった、思わぬ勢力がここに乗り込んできたのは。D∴G教団、かつてクロスベルを中心に大陸を騒がせた女神を否定する集団だった。その集団が、この地に眠るホムンクルスを狙うという事はまだ懲りていないのだろう。かつて《零の御子》と言われたキーアにはもう力は残されていない。だからこれを狙ってまた自分達の活動を続けるであろう事は予想が付いた。自分の仲間の中に被害者がいる。こんな事のせいで心を壊された被害者が。だからこそここで渡すわけにはいかなかった。何より、キーアがした悲しい決断をこれ以上誰かにさせないためにも。

    「悪いが、ここで捕まって貰うぞ!」

    強くトンファーの柄を握り締める。見たところグノーシスの服用者もいるようで、エリュシオンが最初は手当たり次第何でも再現していたのだろうなという事が想像できた。グノーシスはこの世界にあってはならないもの、それはロイドもよく理解している。だからこそ、ここで負けるわけにはいかなかったのだ。

    「っ、流石にグノーシスで魔人化しないだけマシだけど……」

    グノーシスは人間が生存するためにかけているリミッター全てを解除する。それは戦闘力だけでなく体力も例外ではない。一人、また一人と倒してもまた立ち上がってくる。こういうところが本当に厄介だと思いながらトンファーを握り直す。その時だった、一人が魔人化したのは。不味い、そう思った時には既に暴走していた。

    「グッ……ガッ………!」

    腹に腕が貫通している。痛いと思う間も無く意識が飛んでいきそうだった。飛び散る鮮血を横目に何とか再び立ち上がる。無駄だとは思いながらもARCUSⅡにセットしているティアラルを自身にかけて痛みだけでも消す。

    「さあ、行くぞ!」

    ただ一人で、十人前後いたグノーシス服用者の意識を落としてあとは魔人化した一体のみ。だが、それ以上はロイドも立っていられそうに無かった。そして冒頭に戻るのだが。目の前には幼い頃の自分とそっくりな少年がいる。ロイドは問いの答えに正直迷った。生まれかけた自我をここで潰してまで自分の魂を生かすのか、潔く人生に幕を閉じるか。後から残る問題もあるし、どちらにせよこの肉体が朽ちることもそのホムンクルスが問題になることは何も変わらない。それならば、何が最善なのだろう。

    「優しいね、君は」
    「取るなら最善がいいからな。俺がその体を取ってしまえば君の自我は無くなってしまうんだろう?」
    「ああ、そうだね。でも君は僕を連れていきたいと言うのか?」

    ロイドは迷わず頷いた。そうして迷った後、少年は躊躇いがちに口を開いた。

    「僕は混乱のもとだ、それは間違いない。でも生まれて、霊脈から情報を得て。世界を見てみたいとも思ったんだ」

    それは生まれれば誰もが抱く願いだ、幼くまだ成長の余地があるならば尚の事。妙に冷静に作られてしまった自我が、それに待ったをかけているであろう事は想像に難くない。恐らく逆の立場だったら同じ事を言った筈だから。――そんな願いを、ロイドが無下に出来る筈もない。

    「それが君の望みなら、俺に体を渡す理由もないじゃないか」
    「でも僕には生きていくための知恵がない。だからこそ、君に渡したいんだ」

    彼の目には強い決意があった。この事態を終息してくれるであろうロイドに例え自我が消えようと体を渡す決意だ。それが、ロイドの背中を押した。

    「君、名前は?」
    「……ルーク」
    「そうかじゃあ俺は今日からそう名乗るよ、名前は魂だもんな」

    一欠片でも少年を連れていきたいと願ったロイドは最後に少年の頭を撫でる。どうか彼の魂が安らかでありますように。消えていく少年を見送ってロイドも意識が浮上するのを感じた。

    「……遅かったか」
    「ツァイト、そなたも来ておったか」

     広がる血の海と、倒れている人間が複数。奥の装置ににじり寄る異形の姿が一つ。その場に駆け付けたツァイトと異国の魔女――もとい同じ聖獣であるローゼリアはその光景を悲壮ながらも冷静に見ていた。ツァイトは元々合流の約束があり駆け付けたが、ローゼリアの目的は別にあった。つい先程感じ取った霊脈異常の座標がここだった故だ。何かあってはいけないとかけつけたのだが、それよりも優先すべき事は奥の異形を片付ける事かと彼女は手持ちの杖を掲げる。並大抵の魔術ではびくともしないようで、彼女はため息をついた。

    「これはちと本気を出した方が早いかの?」
    「ああ、そうだろうな」
    「やれやれ」

    幼い少女の姿から、魔力を解放して元の姿に戻るとくるりくるりと杖を回した。

    「宵闇に潜む紅き月影よ、妾に力を貸すがよい!」

    杖を掲げた先には、無数の魔法陣。それが一気に異形の周りを取り囲む。

    「燃え尽きよ、《終局魔法紅月》!」

    一斉に放たれる燃えるような魔力がそれに降り注ぐ。流石にそれには耐えられなかったのか異形の原型は崩れて人に戻った。危ないからと魔力で全て拘束した後、二人が見たのは血濡れて倒れている青年の姿だ。

    「やはり一人で行かせるべきではなかったか……」
    「これも女神の巡り合わせ、かの。こうも若いのがとなると皮肉な話じゃ」

    そして二人の視線は、装置の方へ行く。これを巡って争った事は容易に想像がついた。中で眠る幼子の姿には驚きはしたものの、ツァイトは捜査目的からそれが何かを察した。

    「……エリュシオンの遺物か。しかもホムンクルスだ」
    「なぬ!?であるならばただの再現ではない……?」
    「うむ、意図は分からぬが……。ともあれ我々で引き取るしかあるまい」

    そんな時だった、装置の中で眠る幼子が目を覚ましたのは。一先ず装置から出さねばという話になったものの使い勝手が分からず、転移術の応用で出すことになった。

    「つぁい、と……」

    幼子は少年であった。目が覚めたばかり故なのか、辿々しい口調でツァイトの名を呼ぶ。青年とそっくりの姿形とはいえ、中身が違う筈であるからそれに一瞬驚くもすぐに二人は顔をしかめた。

    「なあ、その魂。ぬしはもしや……」

    こくりと頷いた後、血濡れて倒れる青年を一別した後に彼はこう言った。

    「ろいど・ばにんぐすだったもの、です。はなすとながくなりますけど……すみません、からだがいうこと、きかなくて……」
    「魂魄が安定していないのじゃろう。よい、魔女の里へ連れ帰る故」
    「ありがとう、ございます。そうだ、つぁいと……。おれのもとのからだ、たのめるか?」

    心配して仲間が駆け付けてくれることは容易に想像がつく。この事態について悲しむ事も同じように。ツァイトはしっかりと頷いて返事をする。

    「ああ、任された。そなたの事も秘匿しておこう」
    「ありがとう」

    眠る少年を、ローゼリアが転移術で連れていく。後日話し合いになるであろう予感はしながら今はただ事態の終息がなされる事を祈るだけだった。
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    さらさ

    CAN’T MAKE多分もう書かないと思われるオメガバースランロイの序章を見つけたので私のメンタル維持のためにあげておく

    バース性関係なく一緒にいたいαランディといつか来るだろう未来に諦めを抱いているβロイド


    このあとロイドくんがΩになっちゃっててんやわんやするんだろうなぁと思いつつも断念
     ずっと、思っている事がある。もしも自分がΩだったなら、この不毛な関係にも意味を持たせられたのではないかと。Ωとは第二の性にして産みの性。男女問わず妊娠し、出産する事が出来るのだ。そして対になる性、αと番関係を持つ事が出来る。俺には恋人がいる。ごく一般であるβの俺とは違う、約束された相手がいるはずのαの男だ。俺の心にどうしても惹かれたのだと言われるものの、俺には分かる。この関係にいつか終わりが来る事を。惹かれあう番に、俺が敵う筈もない。もし俺がΩだったとして、番になれるのなら。そんな叶いもしない願いを抱きながらいつか来る終わりに怯えながら今日も一日過ごすのだ。

     ずっと思っている事がある。もしも俺がβだったなら、愛している相手をこんなにも不安にさせなくていいのかと。言葉にはしてこないが、ずっと不安そうにしている事は気付いていた。恐らくそれは、俺の性に関係がある事だろう。俺が惹かれた相手はβだった。βというのは良くも悪くも普通で、実質第二の性がないようなものである。αやΩとは対極にいるような存在で、自分の意思で相手が決められる。俺達は結局フェロモンの匂いに充てられればいとも簡単に相手を変えてしまえるような最低な性だ、そんな相手と付き合っていられる精神性に最早脱帽だった。いつか運命やΩの匂いに充てられて今の恋人を捨ててしまったら。きっと俺は自分自身を殺したい程憎むだろう。仕方ないって笑うあいつの姿が目に浮かぶ。諦念を抱かせる位ならいっそ俺がβになるかあいつがΩになればいいのに。そんな叶いもしない願いを抱いて今日も一日人知れず怯えるあいつの背に歯噛みしながら過ごすのだ。
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    recommended works

    さらさ

    MOURNING遅刻大魔王によるすったもんだクロリンがバレンタインデーにくっついて分校全体に知られるまで。ポイピク練習も兼ねてる舌先の魅惑


    「え、え~!?クロウくんにチョコレートあげてないの!?」

     トワの素っ頓狂な声が、第Ⅱ分校の食堂に響き渡った。七耀歴1208年、2月。もうすぐバレンタインデーだ、食堂やら寮のキッチンを貸し切っての菓子作りに女子生徒たちが浮足立っている。去年の同時期と言えばクロスベル解放作戦当日だ、直接参加した訳ではないとは言えど親しみある教官と生徒が参加するともなればムードもそれどころではなかった。実質、今年が初めてのトールズ第Ⅱ分校バレンタインデーである。男子生徒も一部落ち着かない様子ではあるが、それも今更と言ってしまえばそれまでなのだが。ともあれ、青春では割とお約束のイベントが差し迫ったことを踏まえ、生徒たちの押しに負けて食堂にやってきたリィンなのだが。

    「えっと、俺はクロウとは何もないですしチョコレートもあげてませんよ?」

    という言葉で冒頭に戻る。指し手であるミュゼでさえ予想外だったその回答に、誰もが頭を抱えた。この朴念仁め、は共通の認識であるが故に誰も口には出さないが。

    「で、でもでも!リィン教官はクロウさんのこととても好きですよね!?」

    ここでもユウナから容赦ない一 4406

    さらさ

    MOURNING『瞳の交換』

    Q.何日遅れましたか?
    A.三日です(大遅刻)
    バレンタインデーの続編のつもりで書いたクロリン。ホワイトデーの昼から夜にかけた二人の話。
    「よっす、トワ。リィンいるか?」

     三月十四日、世間ではホワイトデーと呼ばれる日。バレンタインデーのお返しをする日と言われる今日は、当然のごとくクロウは先月から晴れてお付き合いを始めた恋人の所に顔を出す――つもりでいた。しかし、尋ね人はどうやら不在らしく。

    「今日は自由行動日だし買いたいものがあるからって、帝都に行ったみたいだよ。珍しいよねぇ」

    トワの言葉にクロウは同意する。何せ、自由行動日ともなれば率先して依頼を引き受けては忙しなく動く性分なのだから。だからこそ、これは珍しい。

    「今日はホワイトデーだし、クロウ君が来るのは予想してると思うけど……。先月の事、まだ気にしてるのかなぁ?」
    「ああ、あの赤飯事件な……」

    東方に伝わるという不思議な風習に倣って、勘のいい生徒の一部が赤飯を炊いた事件があった。勿論、ある程度東方由来の文化に通じている当事者がその意味を知らない筈もなく。その場で倒れてしまい大騒ぎになってしまった。分校中に広まってしまったそれは彼にとっては勿論羞恥以外何もなく。主導者が彼の教え子だった事もあり、新Ⅶ組を中心にその話題は御法度となった。ただ、そうなる前にクロ 3650

    さらさ

    DONEエア小話 リクエストが指定なしとの事だったので
    「何かで互いに対して不機嫌そうにしてるクロリンが戦闘でも息ピッタリな話」
    です。リクエストありがとうございました。
    「……なんか、今日のクロウ機嫌悪くない?」
    「心なしか、リィンさんの機嫌も悪いような気がしますね」

     真・夢幻回廊、第五階層。最前線で戦うクロウとリィンを遠目に、後方支援役のエマとエリオットはそんな話をしていた。いつもだったらベタベタと言っていい程に距離が近いのが、二人ではありえないほどの常識的な距離だったし先程から二人で一度もリンクを繋いでいないのだ。一体何があったというのか、二人の様子を観察するにしても普段は砂糖を吐きたくなるほどドロドロに甘く見ていられないというのが新旧Ⅶ組どころか特務支援課他遊撃士等々の面子が出した結論だった。下手をしたら馬に蹴られかねない。そんな甘さを微塵も感じさせないまま、次から次へと魔獣を伸していく二人には最早感心せざるを得なかった。

    「なんというか、喧嘩したのか?」
    「それはあり得るかもしれないわね。でも……」

    サブメンバーとしてついてきているガイウスとエステルの視線は少し離れたところで戦闘を仕掛ける二人に向けられる。リンクはエマがリィンと繋ぎ、クロウはエリオットと繋いでいる。ダメージを受けることなく終わらせてしまうので、あまり意味がないのだが。
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    さらさ

    MOURNING「何かあって不機嫌そうなクロリンが戦闘では息ピッタリな話」の続き。やっとくっつきます。
    付き合ってないのに痴話喧嘩は犬も食わない リィンとクロウの不仲騒動から数時間。第五階層の最奥まで回って《円庭》に戻ってきた面々は二人を除いて疲れ切った表情をしていた。余りにも不毛な痴話喧嘩、それでいて付き合っていないというのだから手に負えない。瞬く間にそれは広がり、新旧Ⅶ組は総出で溜息をつき、他の面々も事情を察したように苦笑いをしていた。一部生温かい目で見る者もいたようだが。

    「全く、本当にいいのかい?リィン君だって同じ気持ちを持っているのだろう?」
    「……あいつには悪いが、応えられるほど真っ直ぐじゃねぇんだ」

    テーブルを囲って、かつて試験班だった面々がクロウに詰め寄る。アンゼリカの言葉に彼は首を振った後、真剣に迫ってきたリィンの事を思い出す。構えば構う程、愛情と執着心そして独占欲が生まれ、その度にクロウは己を律してきた。果たしてそれは必要か、と。必要であるならばいくらでも利用できる。だと言うのに彼の場合はどうだ、根も真っ直ぐでたくさんの人から慕われている。そんな彼を利用するだなんて出来ないし、したくもなかった、これはフェイクでも何でもない本音であった。未だに《C》だったころの話も出してネタにするのは正直言ってやめて欲しいのだが。
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