薄桃色の手紙 ホワイトヒルを濃く覆う雪雲が消え、日差しも暖かくなり始めた頃のこと。
「手伝って貰ってすまないな」
「別に良いって。ダンデの読んでる本にも興味あったし」
「別に、変わったものは読んでいないぞ?」
「そういうことじゃねぇのよ」
壁の一面の天井まで続く大きな本棚にはポケモンに関する小難しい本から、トレーニングに関する最新雑誌まで。途中から入り切らなくなったものは本棚の周りへと積み上げられて所々雪崩が起きている。一言で言えば雑多な部屋の中でそんな掛け合いをしながらキバナとダンでは本の整理に勤しんでいた。
「専門書は残して…雑誌類は処分で良いんだろ?」
「ああ。気になる記事は大体全部スクラップブックにしているからな」
1986