ハッコウシティのホテル街。そこで見たのは、知らない男に腰を抱かれた恋人だった。
瞬間で沸き上がる血を僕は収める方法を知らない。
荒くなる呼吸音と戦慄く手は、さながら獣だった。
けれど街のど真ん中のここで怒号を飛ばすのはあまりにもガキくさくて。
今じゃあない。けど早く。
上書きしなきゃ。
「あれ、ハルトもう帰ってたのか!遅くなってごめんな!…てか、電気つけろよな」
僕が家に着いた15分後ぐらいに、恋人であるペパーは帰ってきた。さっきまで知らない人と歩いていた癖に。
「オレもう夕飯食ってきちまったけどさ。ハルトの分は用意してあるから、待たずにレンジでチンすれば良かったのに」
「いい。要らない」
「……え?」
僕の晩御飯をレンジに入れていたペパーに構わず、背後から思いきり腰を掴む。
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