ずっと好きだった ヤマには苦手な先輩がいる。
就職を早々に決めた大学四年の春、卒業までの時間を無駄に過ごすのも勿体ないとガソリンスタンドでアルバイトを始めた。そのバイト先で出会った先輩。それがアサギだった。
年齢は聞いたことはないが、ヤマより年上らしい。幼く見える顔立ちなので、初めは年下か、せいぜい同い年くらいかと思っていた。見た目は同性から見ても整っていて、あけすけに言うと、モテそう。
性格は人懐っこく社交的。と、言えば聞こえはいいが、どうにも軽く見える言動と人を揶揄うような態度が、ヤマには理解し難かった。
「お疲れ様です」
「おーヤマ! お疲れ〜」
学校が終わり、ヤマはいつものようにバイトへ向かった。
事務所で確認したシフト表によると、夕方からのこの時間帯は、ヤマとアサギ、バイトリーダーのヒロセ、それに先輩のオオイシが勤務しているようだ。
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