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    cantabile_mori

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    葬台ファンタジーパロの設定・補足竜Vと人間Wの異種族恋愛ファンタジーパロの設定集です。

    ▽なぜ竜は星を司る生物なのに香辛料すら知らないのか

    基本的に竜は魔力ライン、地脈みたいなものですね。それをちまちま補正したりほつれたところを直したりする仕事をいつもしています。
    それは星から与えられた使命。しかし竜から人間たちが離れ畏れるようになってからは人間のことをあまり深く知ろうとしなくなりました。
    ヴァッシュたち双子竜が生まれる五百年くらい前に、王国(作中の王国の前身となる国)が契約竜たちを裏切り、竜たちは人間を矮小な生き物だとわかっていながら友だと思っていたけれど距離を取ることにしました。結局、竜も寂しいという感情を持ちながら人間と触れ合っていたわけです。
    そんなところで星から生まれた双子竜。お姉さん竜のレムから、人間はこんなに面白くて素敵な生き物だったのよと教えられます。またあの時代のように竜と人が仲良くなれるようにと希望を持ちながら。
    レムには人間の契約竜であったことも、そして恋人関係にもありました。そんなわけで双子竜には人間を嫌いになってほしくなかったわけです。
    しかし、レムにも仕事があり竜は生まれた時から魔力ラインの補正という仕事が与えられています。仕事の合間に人間界のことを教えるも、細かい食べ物や最近人間が見つけた香辛料といったものを知識のアップデートができていなかったため、ヴァッシュは香辛料のことを知らなかったというわけでした。

    ▽なぜヴァッシュは魔王復活、ウルフウッドの危機に気づけなかったのか

    突然乱れ始めた魔力ラインの補正の仕事に没頭していたためです。
    竜は仕事をする時感情を意識から切り離します。魔王が復活し魔力ラインが乱れ、生きている竜たち全てが仕事をすることを余儀なくされました。ヴァッシュも同様です。
    そこで『魔王が復活した』とは意識下ではわかっていても『ウルフウッドが危ない』という感情には結び付かなかったのです。悲しいことに。
    それ以降、ヴァッシュは精力的に仕事をやらなくなりました。人間は転生する生き物だとこの星では定められているため、ウルフウッドがまた生まれてくる瞬間を見逃したくなかったのです。
    まあ、当然兄竜のナイには叱られましたが。そこは甘いお兄ちゃんなので『そんなに俺以外と契約したいのか、ヴァッシュ……』と不貞腐れてたりしてました。同じ竜なので契約できないのになんとしてでもヴァッシュと契約してずっと一緒にいたいお兄ちゃんなのでした。

    ▽ウルフウッドはなぜ勇者になったのか

    ウルフウッドはなにも生まれた時から勇者として選ばれていたわけではありません。そもそも勇者の条件は『星を司る竜から加護を与えられた者』であり、生まれた時前回の人生同様魔力を持っていなかったウルフウッドは勇者ではなかったのですが、こっそりヴァッシュがウルフウッドが転生したのを知り村の家を訪ね(その時は両親も生きていました)、前回のようにすぐに死にませんように、と加護を与えてしまったのです。
    ヴァッシュは加護を与えるという意味を本能でわかっていましたが、それよりもウルフウッドにまた会えた、今度こそ守りたい、この恋心を伝えたい一心で長生きしてほしいと願ってしまったのです。
    そうして、ウルフウッドは勇者として王国に信託を受け、師匠マスター・チャペルの元で修行に明け暮れることになりました。

    ▽ヴァッシュの竜としての強さ

    無論、魔王よりも強いです。竜という生き物に生まれた時点でこの星の強さランキング1位というわけです。
    ですが竜は魔王のことを積極的に排除しようとはしません。それは星の定められた運命とは反しており、仕事の内には入らないからです。
    魔王は増えすぎた人間を星が本能的に排除しようとして魔力ラインから生まれた生物です。何度も何度も魔王は蘇り人間たちは勇者を探し出して戦わせ、戦争をし、人間の数を減らしてから死ぬ、という運命を魔王は授かっています。
    なので竜たちの目線からは『魔王って生き物は可哀想だなぁ』くらいにしか思っていません。
    ですが魔竜となれば話は別。星を司る竜としての役目はなくなり、星の竜としての星からの力は失われます。それとは別に魔竜として魔力ラインから魔力を無尽蔵に吸い上げ暴れ回るので、それはもう強いです。ですが星の竜からしたら格下の存在。魔王と同じようなランクになります。よって、魔竜と化した竜を斃すのは必然的に人間の勇者となってしまうわけです。

    ▽なぜ勇者ウルフウッドは最期に手紙を書けたのか

    ヴァッシュが与える加護がそうさせたわけではなく。ウルフウッドの幻肢痛、心のトラウマが治ったわけではなく。
    ただ、ヴァッシュへの直向きな恋心が一瞬だけウルフウッドを正気に戻しました。
    正気に戻ったウルフウッドは自分が長くないと知り、あの日の朝方にヴァッシュへ伝えようとしていた言葉を震える手で書き記しました。
    奇跡という言葉で片付けたくはありませんが、ウルフウッドのヴァッシュへの愛がそうさせました。
    もしかしたら、前世のウルフウッドが『何さらしとんのじゃはよ告白せぇ!』と魂の奥底から叫んでくれたのかもしれません。

    ▽なぜナイは人間を滅ぼさなかったのか

    ひとえに『人間への感情が無になった』からです。
    レムから人間の良さ、悪さを教えられ、人間の作る物に対し興味を持っていたナイ。弟がいつか人間と契約してみたいと言った時は反対こそしましたが、ヴァッシュがそうしたいなら、とも思っていました。結局弟の意見を尊重したい甘々お兄ちゃんだったわけです。まあ、本気で自分がヴァッシュと契約して誰にも渡したくないという思いはあったのですが、それは毛頭できないことなので心の奥底では諦めています。
    ですが、勇者ウルフウッドとの契約をヴァッシュが守れず魔竜と化してしまったとき、ナイは怒り狂いました。勇者ウルフウッドの最期の真相を知り王国全土を焦土に変えようとしました。それを阻止したのはレムでした。
    「契約を結んだのもヴァッシュ。守れなかったのもヴァッシュ。人間たちはそのきっかけを作っただけ。ヴァッシュと勇者は星の契約を守れなかっただけなの」とレムはナイを抑えつけながら言います。しかし、レムの瞳からは涙が溢れていました。レムにだって感情はあります。竜としての責任もあります。そのせめぎ合いで、さらにナイにも堕ちてほしくなかったのです。
    そんなレムを見て、ナイは覚悟を決めました。ヴァッシュが守ろうとしたものを守ろうと。よってヴァッシュがウルフウッドと暮らした古屋、そして西の森を人間たちから守ろうとしました。
    そして新たな勇者が現れたと聞き、何か魔竜と化してしまったヴァッシュを救う手立てはないかと手段を探し始めます。竜たちに相談し、星を駆け抜け様々な可能性を見つけ出そうとします。それで見つけたのが、手紙と聖剣でした。
    魔竜は魔王と生まれこそ違いますが似通った存在です。魔力ラインを乱す存在なので。よって白銀竜、聖なる竜として生まれたナイは悟りました。自分が創ったこの剣ならばヴァッシュを楽にしてやれると。
    勇者が小屋に現れ、心の中ではムッとしていましたが前世の勇者の愛のメッセージが書かれた手紙を渡します。もしかしたら聖剣だけでは魔竜ヴァッシュは斃せないかもしれない、愛の力がなければ、と。
    本当は自分がやりたかった。けれど魔竜を斃せるのは人間だけ。とても、とても歯痒い思いをしているナイの元へレムが現れます。
    「魂は繋がっているの。人間が忘れてしまっているだけ。きっかけさえあれば彼らは思い出してくれる。でもそれは星が生まれる確率より小さいわ。ナイ、貴方はヴァッシュをそれでも救おうと思う?」
    ナイは頷きました。
    勇者に斃された魔竜ヴァッシュの魂を魔力ラインにのせ、黒炎によって穢された魂を洗い流します。それはナイにとって苦痛を伴うものでしたが弟のためだ、と歯を食いしばりました。
    そして兄竜の愛によって綺麗な魂になったヴァッシュは、魂の循環ラインへと放たれます。またどこかで、竜か人間かそのほかの生き物として生まれ変われますように、とナイは思いながら。

    ナイの献身によってヴァッシュは生まれ変わります。
    竜でもなく人間でもなく、星の新たな生命体として。
    種族名は誰も知りません。魂で繋がった者だけが、ヴァッシュを『ヴァッシュ』たらしめ、名をつけるのです。



    この続きは11月スパークの新刊書き下ろしで書こうと思っております。
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