とあるコラム
悪魔憑きというものがある。端的に言ってしまえば先天異常のことである。
ただ、その度合いが、悪魔が憑いているとしか説明できないような様であることから、差別的な俗称としてこのように呼ばれている。
正式には部位によって用語が定められており、例えば羽根のような機関を持って生まれた子は翼持症、それが片方であれば片翼持症という。
症状は羽根の他にも多岐に渡る。他によくある例としては皮膚や骨の一部が特定の動物のように変質するものや、頭部に角が生えているなどである。しかし、大抵の場合で実害はない。そのため、あくまで「身体のみの先天異常」と認定されている。
もちろん、ふざけた勢いで、人より鋭利な爪で引っ掻いてしまったなどの事例はあるのだが、それにしても、世間で噂されているような「食生活が大いに違う」だとか「性格が豹変したり、患部に人格を乗っ取られたりする」と言ったようなものは、どの症例を見ても一つとしてないのだ。このようなイメージを、事実を広く知ってもらうことで払拭せねばならないのは、我々のまず第一の課題だ。
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