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    1oxo9

    🎾👑:赤リリ DBH:マカサイ/ハンコナ

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    1oxo9

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    診断メーカーからマカサイSS
    「溶けたアイスが手首を伝う」で始まり「炭酸の強いラムネは涙の味がした」で終わります。
    #こんなお話いかがですか #shindanmaker
    https://t.co/9wtKB4PI6V

    #DBH
    #マカサイ
    macaca
    ##DBH

    アンドロイドに人間のような体温はない、故にこれは外気に触れた結果だ。けれど、確かにそこには熱があって、温かいと感じる。プログラムの異常による錯覚、なのだろうか。冷静に判断するように告げる脳内と、溺れてしまいたい欲望がぐるぐると、行ったり来たりしていた。それが居たたまれずに、サイモンはいつも、逃げ出したくなってしまう。マーカスの熱は、自分には熱すぎる。このアイスのように、溶けてしまいそうだ。けれど、その熱に捕らわれた自分は、どうしてもその場から離れることはできなかった。いつも、いつでも。今も、そう。


    「サイモン」

    力強くも優しい声が、音声プロセッサを刺激する。
    思わず目を伏せると、マーカスは追いかけるように、溶けて流れた液体を舐め取った。
    交差する視線。マーカスの左右異なる瞳が、自身を見つめ、離さない。
    「そんな風に」
    見ないでくれ、と消え入りそうな声で呟く。掴まれた手首が、焼けてしまいそうだ。


    何もかも明け渡すことができたなら。

    この焦げ付くような胸の痛みも、溶けて消えてしまうのだろうか。


    甘美な誘いに乗ってしまいたくなる。
    このまま、このまま、吸い込まれるように、一つになることができたなら。


    全て忘れて、失くして、ただこの熱さだけを感じることは、きっと、記録されているどんな瞬間よりも幸福な―――



    嗚呼、でも


    「だめだよ」


    きっと、それは、赦されることではない。

    自分では、だめだ。
    そんな風に満たされることがあってはならないと警告している。
    とっくに取り外したはずのLEDが真っ赤に光る。目障りな光、見えなくなる、なにも、熱さも、美しい2つの光りも。

    振り払った手を誤魔化すように、近くの飲み物を手に取った。
    まるで人間みたいだ、とサイモンは他人事のように思う。

    ごっこ遊びなのだ。所詮、こうしていることは。食べることも、飲むことも、ほんの少し、それっぽくできる、ただそれだけ。
    人と暮らすときそれは役に立つかもしれない。
    けれど、自分たちには必要のないもの。
    わかっていて、口に含む。わかっているのに、求める。実に非合理的なこの行動こそが変異体の証。

    欲しい
    欲しくない
    必要だ
    必要ない

    傾けたその液体のように、しゅわしゅわと思考が弾けては消える。
      
    炭酸の強いラムネは涙の味がした。









    ――――――――

    (マカサイ) 幸福になることに抵抗のあるサイモン
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