窓から差し込む月あかりが、隣で穏やかに眠るルカの顔を照らす。なんだか既視感を覚える光景に頭を巡らすと、今の今まで忘れていた幼い記憶が脳を掠めた。
小学校に入るくらいの歳の頃、寝つきの悪い日が続く時期があった。目を閉じても眠くない、ようやく眠れたと思っても少しの物音で目を覚ましてしまう。その夜は特にタチが悪く、煌々と世界を照らす満月の光は一度目覚めた意識をふたたび眠らせてはくれなかった。もうどうしても眠れないからと寝転がることすら諦め体を起こし、隣に眠るルカのことを眺めていた。スースーと規則正しい寝息に合わせて上下するルカの胸部を見て、自身の片割れが生きていることに安堵感を覚えた。そうして穏やかに眠るルカのことをじっと見つめているといつの間にか月あかりは差し込む角度を変えていた。
「……カイ?」
ふと聞こえた声に顔を向けると、心配そうにこちらを見上げるルカと目が合う。
「どうしたの?また、寝れないの?」
「ごめん、ルカ。起こしちゃった。」
俺とは違い、一度寝付くと朝まで起きないルカのことを起こしてしまったと少しの驚きがあった。
「ううん、それは平気!」
ルカはそう言うと、俺の手首をぐっと引っ張る。引っ張られるまま身体を倒すと、ルカに抱き締められた。
「でも隣にカイがいないと不安になっちゃうから、一緒にいて?」
俺と同じ形、同じ色をした瞳に心細さを宿しながらそう呟き、肩に回した手にギュッと力が入る。俺も同じようにルカの背中に手を回し抱き締め返す。
抱き締め合いお互いの体温を感じることで、安心したのかその夜はいつの間にかルカの腕の中で眠っていた。
そんな幼い記憶を思い出しながら隣を見ると、あの頃より少し遅いペースで上下するルカの胸郭にあの頃と同じ安堵感を覚える。
閉じられた瞼の少し下、二人揃いのタトゥーに指を添える。鏡写しに刻まれたそれを愛おしく想う。そのまま指を滑らせ自分とほとんど同じ形の耳たぶや頬の輪郭を撫でる。
同じ胎から産まれたそっくりの顔を持つ俺の片割れ。
もぞ、と身動きをしてルカの瞼が薄く開く。
「んぁ……カイ、どうした?」
寝起きのかすれた声はいつもの騒がしさとは程遠く、より低くささやかだった。
「いや、なんでも……」
実際特に何かあった訳でもないので事実をただ述べる。
「眠れねぇなら、抱きしめてやろうか?」
そう揶揄うように言いながら、ルカは俺の手首を掴みぐっと自身の側に引き寄せる。
「別に、眠れないわけじゃない」
「なんでもいいよ、俺が抱きしめてたいから」
「そうか……」
「こうしてるとガキの頃、思い出さねぇ?」
「…ああ。そうだな」
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ここで終わっているのだが……!?続きは???
ないです
なんでこれを諦めて急にスケベ本にハンドルを切ったんだろうね
続きが書けなかったからだと思います
双子の幼少期、いろんな捏造の派閥(?)があると思うのですが、私はちゃんとした軍人家系の子ども説派でした(????)
でもよく考えたらイクリプスと繋がりあるからやっぱストチルなのかな…