冷静と情熱の間「松井、すまねえ!」
部屋に来た和泉守兼定が両手を合わせていきなり謝るものだから、僕はつい首を傾げてしまった。
聞けば、昨日は新選組、三名槍、太郎次郎のメンバーで酒盛りをしていたらしい。そこへ遠征を終えた豊前と桑名が加わってすごいことになったらしい。騒ぎすぎて、へし切長谷部が怒っていたのはそのせいか。
実はその中に媚薬成分が入ったお酒が混じっていようで。万屋でジョークグッズと思い買ったのだが、遅効性のガチのものらしく……それを豊前が飲んでしまったと言うのが顛末だ。
「道理で、今朝は起きてこないわけだ」
「面白がって買ってしまった私たちも悪いのです。松井江、申し訳ありません」
太郎太刀が深々と頭を下げてきた。お酒の席なのだし、ハメを外したくなる気持ちは分からないでもない。
1912