Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    skff14

    @skff14

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 3

    skff14

    ☆quiet follow

    ニャンフィノ。冬の現パロ

    #ニャンフィノ
    nymphenofino.

    「待たせたな」
    「ううん、今来たところなんだ」

    笑顔を浮かべつつもかたかたと震えているアルフィノに眉を寄せる。もう少しつくならマシな嘘をついて貰いたいものだ。一見マフラーと手袋で防寒対策はばっちりに見えるが、寒がりの坊っちゃんにはそれでは足りなかったようである。そもそも外で人を待つのも慣れてないだろうに。

    「だから適当な店で待ってろと言ったんだ」

    待ち合わせ場所の近くに飲食店がないからいいと断られたがもう少し強く主張すべきだった。溜息をつきながら近くの自販機で適当にココアを買うと出てきたペットボトルをそのまま投げ渡す。

    「ほら。多少はしのげるだろ」
    「す、すまない。お金は……」
    「いいから。こういうのは黙って貰っておけ」
     
    エスティニアンの言葉に申し訳なさそうにしつつ手を温めているがどうにもその姿は心もとない。元々白い肌を更に白くさせながら冬の強い風に身を縮こませて耐えているのを見ると、このまま外でライトアップまで待たせるのもどうかという気分になってくる。

    「もう少しこっちに来い」

    仕方がないのでアルフィノを呼びながらコートのボタンを外す。素直に寄ってきたアルフィノをそのままコートを羽織らせるように包みこんだ。

    「まだ時間があるだろう。それまで大人しくしてろ」
    「これではエスティニアン殿の方が冷えてしまうよ。ちゃんとコートを着ないと」
    「ここで倒れられる方が困る。これに懲りたら次に外で待ち合わせする時はもう少し厚着をするんだな」

    こちらを見上げてなお抗議の声を上げようとするアルフィノの耳に手を当てる。

    「っ」
    「本当に冷え切っているな……」

    外気に晒されたそこは外を歩いてきたエスティニアンの手よりも更にひんやりとしていた。次は耳あてでも贈ってやるかと考えながら熱を分け与えるように好きに触っていると落ち着かなく動いていた段々アルフィノもおとなしくなっていった。

    「この方がちょっとはマシだろ?」
    「……うん……」

    己のコートの襟をきゅっと握りしめて大人しく目の前でもぞもぞと包まっている姿はなかなかに愛らしい。気を良くしたエスティニアンが戯れに目の前の癖毛を撫でているとアルフィノがぽつりと呟いた。

    「エスティニアン殿の……」
    「ん?」
    「エスティニアン殿の香りでいっぱいで幸せだなって……抱き締められてるみたいで……」
    「……抱きしめて欲しいのか?」
    「や、ち、ちが、そういうわけじゃ」

    否定の言葉を聞かなかったことにしてやや強引に抱きしめる。背後に立っているせいで表情が伺えないのが唯一悔やまれたが、真っ赤になった耳が彼がどんな表情をしているのか雄弁に表していた。

    「だいぶ温まってきたな」
    「うう、ずるい……」

    ぽかぽかと熱を発するアルフィノを腕の中に収めているとこちらも寒さを忘れる程度には心身ともに満たされていく。寒空の下だがもう少し、このまま2人で外にいるのも悪くないと、そう感じた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤❤❤💖💘💕💕💕💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works